水管理・国土保全

  

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旭川の主な災害

旭川水系の災害の特徴
梅雨と台風による洪水と低平地の広がる岡山平野、瀬戸内地区の少雨
 旭川流域の洪水は、梅雨及び台風の降雨によるものに集中していますが、過去の実績によると豪雨発生の頻度は梅雨による場合が多くなっています。台風による豪雨発生の頻度は梅雨による場合より少なくなっていますが、その規模は大きく、特に、台風が瀬戸内海を東進するときと、岡山県の西側を通過するときに大規模な洪水になる場合が多くなっています。

 また、旭川下流部の低平地の大部分は、新田開発のため、江戸時代の干拓によって造成されたものです。岡山市街地は、旭川が岡山平野に流れ出す現在の岡山市中原付近から、下流の干拓等によって形成された低平地に発達しており、ゼロメートル地帯が広がっています。このような場所では河川からの氾濫により広範囲に浸水域が拡がるだけでなく、内水や高潮によっても浸水するため、重大な被害が発生しやすくなります。

旭川水系河川整備計画

洪水や高潮に対して脆弱な低平地の広がる岡山平野

発生日 発生原因 被災市町村 被害状況
1892年(明治25年7月23日) 台 風 岡山市他 死者3名 流潰家屋2,728戸 浸水家屋18,183戸
1893年(明治26年10月12日) 暴風雨 岡山市他 死者120名 流潰・被災家屋27,315戸
1934年(昭和9年 9月21日) 室戸台風 岡山市他 死者60名 流潰家屋2,929戸 浸水家屋35,214戸
1945年(昭和20年 9月18日) 枕崎台風 岡山市他 死者・行方不明者-不明 流失家屋77戸 浸水家屋2,110戸
1972年(昭和47年 7月11日) 梅雨前線 岡山市他 死者・行方不明者4名 流失家屋25戸 床上浸水1,225戸 床下浸水3,084戸
1998年(平成10年10月18日) 台風10号 岡山市他 死者・行方不明者3名 床上浸水358戸 床下浸水615戸
2004年(平成16年8月31日) 台風16号 岡山市他(高潮被害) 床上浸水9戸 床下浸水7戸
2006年(平成18年7月19日) 梅雨前線 岡山市他 床上浸水 1棟 床下浸水33棟
2011年(平成23年9月3日) 台風12号 岡山市他 床上浸水135世帯(岡山市内) 床下浸水4,445世帯(岡山市内)
「旭川水系河川整備計画(国管理区間)」より



昭和9年室戸台風洪水
既往最大の洪水、岡山市街地が水浸しに
 昭和9年9月21日に911.6hpaという猛烈な強さの台風が高知県室戸岬付近に上陸し、淡路島を通って大阪に進みました。この台風の影響は凄まじく、岡山県内でも多くの死者や負傷者を出し、家屋の全半壊も相次ぎました。岡山市の雨量は73.6mmでしたが、旭川の上流に降った雨が、半日後に流れてきて増水し、台風が通過した後に岡山市内は大洪水に見舞われました。この洪水による浸水位を後世に残すため、当時の内務省等が台風後に岡山市内外の計数十カ所に設置した浸水位を示す標識は、数こそ少ないものの現在でもいくつかが残されています。


昭和9年室戸台風による岡山市内の被災状況


昭和9年室戸台風洪水による浸水位を示す標識



昭和47年7月梅雨前線豪雨
中国地方各地で大災害、旭川流域でも浸水被害が多発
 昭和47年7月豪雨は、7月初めごろから西日本に居座っていた梅雨前線が中国地方に横たわったことによって記録的な大雨をもたらしたものです。旭川流域では、総雨量が旭川上流部の落合で500mm、久世で469.5mmに達しました。このため岡山市内では、大原地区や中島地区等において家屋の浸水や農地の冠水が発生し、大きな被害に見舞われました。また、百間川の河口付近では両岸にわたり浸水被害が発生しました。


岡山市中島地区の浸水状況


岡山市大原地区の浸水状況



平成16年8月台風16号による高潮被害
高潮により旭川河口部付近の低平地が浸水
 平成16年9月の台風16号では、降雨による洪水被害は発生しませんでしたが、岡山県下の沿岸各地で既往最高潮位を越える高潮が発生しました。百間川河口部の沖元潮位観測所では、観測史上最高の2.84m (零点高 TP.0.0m)の潮位を記録しました。ゼロメートル地帯が広がる旭川河口部左岸0k0~1k4付近の江並地先では、波浪による浸水(16戸)や、百間川河口付近の岡山県管理の海岸堤防において法崩れ等の被害が発生しました。


岡山県管理区間の海岸堤防の被災状況


平成16年台風16号による高潮の越波状況



過去の主な渇水
温暖寡雨の瀬戸内海式気候がもたらす渇水被害
 台風や集中豪雨のときを除いて、旭川の流況は比較的安定しています。しかし、ときには渇水になり、取水が制限されることもあります。近年最大の渇水は平成6年に発生しました。この年は、8月から9月にかけての45日間、上水道20%、工業用水30%、農業用水50%の取水が制限されました。また、岡山市では、送水圧を16.7%落とす給水制限が明治38年の水道開業以来初めて実施されたほか、県営プールも休業し、水稲・もも・ブドウなどの農作物にも大きな被害が生じました。また、平成14年にも岡山県内で渇水による取水制限が実施されました。


平成6年渇水時の湯原ダムの状況

発生年月 取水制限延日数 最大取水制限率 旭川の瀬切れ発生日数
平成6年8月~9月 45日 上水20%、工水30%、農水50%
平成14年9月~11月 70日 上水10%、工水20%、農水30%




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