緑川水系加勢川の流れる熊本市川尻地区は、藩政時代から大正時代にかけて、熊本城下の交通・商業の拠点として繁栄しました。現在も昔ながらの町家などが残っており、伝統工芸も盛んな町です。また、河川構造物についても、船着き場の石積み階段や石積みの堤防など、河港として栄えた当時の構造物が現在でも多く残り、加勢川と調和し歴史的な風景を形成しています。
そこで、改修方法の検討にあたっては、地域住民の代表者で構成する「川尻地区改修検討会」を設立し、地域住民と意見交換を行いつつ、川尻地区の改修方針の策定を行いました。
その結果、治水目的である改修工事を実施しながら、遺構としての価値や利用面を確保しつつ工事が完成し、平成22年8月5日に船着き場が国指定史跡に登録されました。