水管理・国土保全

  

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本明川の歴史

治水の歴史等

近年の治水事業以前の治水に関する記録は極めて少なく、藩政時代の寛政12年(1800年)2月の川浚えと文化7年(1810年)5月の現四面橋下流浚渫工事の2件程度の記録が残されています。

河川改修としては、昭和24年度より長崎県において中小河川改修事業として、長崎本線鉄道橋より下流河口地点までの区間について築堤、護岸等の改修工事に着手しました。

昭和32年7月25日の諫早大水害を契機に昭和33年度より、国の事業として福田川、半造川及び長田川の主要な区間を加えた計画を定め、本川上・中流部の河川の拡幅工事、中流部の特殊堤工事、支川半造川、福田川の築堤工事を実施しました。また、眼鏡橋の解体移設、新橋、高城橋の架け替え、公園堰の改築、さらに河川改修と土地区画整理事業が一体となったまちづくりなどが行われ、昭和35年度末までに諫早市街地の基本的な復旧工事がほぼ完成しました。

その後、昭和39年の河川法改正に伴い、昭和44年に「本明川水系工事実施基本計画」が策定され、築堤、河道掘削、護岸、水門、樋門及び内水対策事業を引き続き実施し、昭和49年度には、諫早排水機場が完成しました。



市街部の河道幅の変遷


諫早排水機場(昭和49年度完成)



治水の歴史等

さらに、平成3年には戦後最大の昭和32年7月洪水(諫早大水害)規模を安全に流下させることを目標に計画規模を1/100とし、基準地点裏山の基本高水のピーク流量1,070m3/sを上流で洪水調節し、計画高水流量を810m3/sとする工事実施基本計画に改定し、築堤、河道掘削、水門、内水対策事業等を実施しています。

その後、平成9年の河川法改正を受け、平成12年12月には、「本明川水系河川整備基本方針」が、平成17年3月には河川の具体的な整備内容を示した「本明川水系河川整備計画」が策定されました。

近年は、平成11年7月の災害を契機に護岸等の災害復旧及び災害関連緊急事業として大規模な河道掘削、並びに諫早排水機場の増設と排水ポンプ車の配備を図り、現在は、治水安全度が低い支川半造川の川幅を拡げるための引堤事業を平成5年度より実施しており、支川の中山西川においても河川改修事業を実施中です。また、本明川河口部では諫早湾干拓事業が行われており、平成11年3月の潮受堤防の完成によって高潮等による災害の発生が軽減されています。なお、平成20年3月に諫早湾干拓事業が完了したことに伴い、潮受堤防までの延伸区間について河川指定を行いました。


中山西川水門 (平成9年度完成)


本明川下流河道掘削(平成10年度~)



利水の沿革

本明川の農業用水利用の歴史は古く、耕地拡大のための干拓が江戸時代初頭には始められていたと言われています。小野地区の干拓は元禄年間(1688年~1703年)から安政年間(1854年~1859年)にかけて行われました。干拓地が広がるにつれて水不足の問題が持ち上がり、小野地区では、文化10年(1813年)、諫早領・家臣、青木弥惣右衛門によって半造川に逆サイフォン方式の「底井樋廻水」が設置され、田井原地区から本明川の水を回すなど、高度な水利用が行われるようになり、現在でも干拓地の水田を潤しています。

本明川右岸の田井原・小野干拓地のかんがい用水は、中流部の公園堰から取水されています。この公園堰は昭和32年7月の諫早大水害後、国の事業で既存の取水堰の機能を有する床止めとして改築され、その用水路は総延長約50kmにも及び、本明川の農業用水利用の中で大規模かつ重要な取水施設となっています。



干拓の歴史


底井樋廻水



利水の沿革

さらに、昭和52年には長崎県によって小ヶ倉ダムが建設され、農業用水の安定取水のための補給水源や諫早市の水道用水として利用されています。
また、公園堰からは水路維持などのため非かんがい期にも取水され、この水は諫早市街地の水路を流下し、地域住民の生活文化の中に溶け込み、重要な役割を果たしています。

その他、本明川流域の農業用水は、本明川、湯野尾川など上流山間部に河床勾配緩和のため設置された落差工を利用した取水が多く見受けられます。現在、本明川水系では農業用水として約2,300haに及ぶ耕地のかんがいに利用されるほか、諫早市*の上水道として5,000m3/日が利用されています。なお、発電用水、工業用水としての利用はありません。

本明川流域では、昭和35年、昭和39年、昭和41年、昭和42年、昭和53年、平成6年などの干ばつの被害が記録されています。また、傾斜地を利用した営農形態が主であり、山間地の渇水被害が顕著でした。



公園堰(本明川5k000付近)


本明川上流本野地区に点在する落差工




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