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日本のITSの現状

第3章 日本のITSの現状

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 我が国では、現在まで様々な開発分野においてITSに関する取り組みを行っている。現在のITSに関する取り組みを実施指針に示した9つの開発分野別に整理すると以下のとおりとなる。

1)ナビゲーションシステムの高度化
2)自動料金収受システム
3)安全運転の支援
4)交通管理の最適化
5)道路管理の効率化
6)公共交通の支援
7)商用車の効率化
8)歩行者等の支援
9)緊急車両の運行支援

1)ナビゲーションシステムの高度化

 平成8年4月よりVICS(道路交通情報通信システム)が運用をはじめており、首都圏の一般道路及び東京から100km程度までの高速道路ならびに東名・名神高速道路等においてサービスを実施している。
 このVICSについては、全国展開へ向けてビーコン・情報処理基盤の整備を全国の高速道路や主要都市等の一般道路において推進する他、ナビゲーション装置の安全性確保のため被視認性及び操作性、判読性に関する調査研究を行うなどナビゲーションシステムに係わる事業展開や研究開発を実施している。
 また、ナビゲーションシステムの車載装置については、安全性を確保した情報伝達のあり方について研究を実施している。
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2)自動料金収受システム

 我が国の有料道路の実態に即したノンストップ自動料金収受システムについて技術情報の収集、試験運用・実用化へ向けた研究を行っている。またノンストップ自動料金収受システム等の実験結果等を踏まえて、ワイヤレスカードシステムの技術基準等の策定を図るための検討を推進している。
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3)安全運転の支援

 エレクトロニクス技術を応用し高知能化した先進安全自動車(ASV)は、これまでの自動車側での安全対策に加え、予防安全技術や緊急時の事故回避技術を積極的に導入し、ドライバーが対応しきれない部分を各種の自動制御技術により運転支援しようとするものであり、技術指針を策定するとともに、ASV試作車のデモ走行等を実施した。
 また、情報化・知能化技術を駆使した高知能自動車交通システム(SSVS)では、プロトコルの研究、通信機能と連携した複数車両の認識技術、車両制御システムとのインターフェース等の開発研究を行っている。
 路車間通信等を利用し、道路に設置されたセンサー等から収集された情報の車両への提供などにより安全運転の支援を目指す自動運転道路システム(AHS)では、危険警告、運転制御、自動運転について研究開発及び公開実験を実施している。
 また自動車の衝突防止や自動走行制御に関して重要な役割を担う小電力のミリ波レーダーの技術基準の制度化など関連規則の整備を進めている。
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4)交通管理の最適化

 効率的な信号制御を行う最適制御アルゴリズムの研究開発、車載機等への交通情報を提供するシステムの研究開発、目的地情報の活用による最適な車両配分を考慮した動的経路誘導の研究開発、交通公害の低減を目指す迂回情報提供や信号制御手法の研究開発及びフィールドテストを実施している。
 また、交差点の処理能力を高める新しい信号制御方式及び交通管理に必要な路車間の双方向通信機能の実用性を検証するためのフィールド実験及びデモンストレーションを実施している。
 さらに、全国的に交通管制センターの信号制御機能や交通情報収集・提供機能を高度化している。
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5)道路管理の効率化

 特殊車両の管理に係わるシステムとして、通行許可の電子化の試験運用や特殊車両自動計測システムの開発・試験運用を実施している。
 また、道路の維持管理に必要な路面情報、気象・災害情報、事故情報等をセンサー、ITVカメラ等により収集するシステム、情報板・路側通信(路側ラジオ放送)・ビーコンを用いてドライバーに規制情報等を提供するシステムの研究開発及び展開を実施している。
 さらに、道路パトロールカー及び維持作業車両等について稼働状況の把握等を行うシステムに関する研究開発のほか、これらのシステムの統合及びデータベースの構築を含めた道路情報を管理するためのシステムについて検討を行っている。
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6)公共交通の支援

 公共交通車両の優先通行を確保するため、バスに搭載した車載機との双方向通信を利用した優先信号制御、バス走行位置の事業者への提供等についてのフィールド実験を実施している。
 また、道路や信号等のインテリジェント化、情報化が進展する中で、これらのシステム等をバス、タクシーが利用し、高度な道路運送システムを構築するための方策について、サブシステムの検討、費用負担効果等を含めて総合的に調査を実施している。
 さらに、輸送の安全性を向上させるとともに、適切な運行管理を行うため、運行記録計の高度化等の検討を行っている。
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7)商用車の効率化

 道路や信号等のインテリジェント化、情報化が進展する中で、これらのシステム等をトラック等が利用し、高度な道路運送システムを構築するための方策について、サブシステムの検討、費用負担効果等を含めて総合的に調査を実施している。
 また、新たな物流システムの構築のための研究開発として専用走行路で自動運転を行うデュアルモードトラックについて、複数車両による自動追従運転に関するフィールド実験を実施している。
 さらに、輸送の安全性を向上させるとともに、適切な運行管理を行うため、運行記録計の高度化等の検討を行っている。
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8)歩行者等の支援

 歩行者に感応し、歩行者に優しい信号制御を実現するための歩行携帯用発信機による歩行者用信号の青時間延長システムの整備や歩行者をセンサで感知して信号表示時間を制御する信号制御手法及び音響等による案内、歩行者誘導手法に関して開発、フィールドテストを行っている。
 また、高齢者・障害者等全ての歩行者が安全かつ安心して目的地まで歩いて行くことのできる歩行空間を整備するための適切な経路誘導の研究開発、及びそれに伴う歩行者等への適切な情報提供システムの検討を行っている。
 さらに車両側の対策として、前方の歩行者を検知し、自動的にブレーキを作動させることにより歩行者等の交通事故に対する危険防止を図るシステムについて試作、検討を行っている。
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9)緊急車両の運行支援

 事故の発生を迅速かつ自動的に緊急機関に通報するシステムを装備した車両の開発を行っている。
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 以上の取り組みの他、通信技術の開発としてマイクロ波帯における移動伝送技術の試験研究や移動通信に関しては、道路の情報化の観点からトンネル等における移動通信用の施設整備や道路における移動通信サービスの連続性の確保を図る施策を推進している。