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結語

第7章 結語

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 高度情報通信社会構築に向けて社会システムが大きな変革を遂げようとしている今日、ITSは、道路交通問題解決の切り札として、新たな産業を創出するものとして、さらには高度情報通信社会を先導するものとして、我が国のみならず世界的にも大いに期待されている。このため関係者が連携してITSの積極的な推進に取り組む必要がある。
 本全体構想は、我が国のITS推進に関する基本的な考え方を示すため、ITS推進に係わる基本理念や利用者サービス、開発・展開目標等を長期ビジョンとして策定したものであり、ITSを体系的、効率的に推進するための関係者の共通認識として位置づけられることを期待するものである。このため、特に本全体構想においては、
 第1に、ITSの利用者及びそのニーズ等に基づき、「道路・交通・車両分野における情報化実施指針」で示したITSの9つの開発分野ごとに設定した20の利用者サービス
 第2に、開発分野ごとに設定したITSの導入時期等の開発・展開目標
 第3に、ITS実現に向けて、推進体制の整備、研究開発の推進、社会的受入環境の整備、インフラ整備、国際協力・協調に関して打ち出した基本的な方策を示した。
ITS推進を図るためには、関係者が特に前章までに述べた以下の点を念頭に、21世紀に向けて、真に豊かで活力ある国民生活を実現に向け連携し、一体となって対応していくことが重要である。
 第1に、ITSは道路交通問題解決の切り札等として重要な役割を果たすものであるため、高度情報通信社会における「公共分野の情報化」の一つとしても位置づけられるものである。このため、ITSと高度情報通信社会における他の分野との連携を重視し、ITSと調和させるべき領域との相互運用性や相互接続性を確保した上でITSの実現を図ることが重要であること。
 第2に、ITSの利用者の利便性と社会システム全体としての効率性向上を念頭におき、利用ニーズや導入時期等に関する共通認識のもと関係者が各々の役割を認識して計画的に推進していく必要があること。
 第3に、ITSは世界的な規模で取り組む必要のあるプロジェクトであることから、技術開発に関する情報交換や、標準化等について国際的な協力・協調が重要であること。
 第4に、ITSの開発・展開にあたっては、技術開発の推進に加えて、社会的受入環境に係わる問題を解決していくことが重要であること。
 なお、ITSの推進のための取り組みは、社会・経済環境の変化、技術開発の進展に応じて柔軟に対応していくべき性格のものであり、ITSの推進に係わる状況の変化に応じて本全体構想についても適宜見直していくものとする。