道路事業評価手法検討委員会

第5回 道路事業評価手法検討委員会
日 時  平成15年5月29日(木)10:00〜12:00
場 所  国土交通省4F特別会議室
議事次第  1.開会
 2.議事
 (1)第4回委員会議事概要について
 (2)客観的評価指標(案)及び費用便益分析マニュアル(案)について
 (3)高速道路を対象とした総合評価について
 (4)事後評価について
 (5)その他
 3.閉会

委員長
森地 茂
東京大学大学院工学系研究科教授
顧  問
 
中村 英夫
武蔵工業大学教授
委  員
小林 潔司
京都大学大学院工学研究科教授
委  員
竹内 健蔵
東京女子大学文理学部教授
委  員
 
林山 泰久
東北大学大学院経済学研究科助教授
委  員
 
山内 弘隆
一橋大学大学院商学研究科教授
○は出席した委員

委員会資料   議事録

客観的評価指標(案)及び費用便益分析マニュアル(案)について
新規事業採択の評価の考え方について

 現在新規事業採択の前提条件となっている費用便益比の扱いについて、今後は、便益が費用を上回っていることを確認しつつ、費用便益比を含めた事業に伴うさまざまな効果を幅広く反映し得る総合的な評価方式の導入を検討していくこととされた。
 
  (委員の主な意見)
事業採択は費用便益分析の結果のみにより決めるものではなく、「費用便益比1.5以上」を必須要件とする必要は無い。その他の効果も含め総合的に勘案して決めるべきものであり、どのように考えて決定したのか説明責任を果たすことが重要。
事業採択にあたり効率性の観点は必要であり、費用便益比の値については1を超えるか否かは資源配分の観点から重要であるが、1.5を基準値とすることについては学問的には意味は無い。
安全や景観など、費用便益比に関わらず必要なものもある。
 
費用便益分析マニュアル(案)について
評価手法について、担当部局で勉強して、独自の項目や手法を追加することなどを認め、手法の改善に積極的に取り組むインセンティブが働くような制度とすべき。
感度分析について、影響要因の例として、交通量、事業費、事業期間があげられているが、政策変数(関連事業の実施等)の影響も大きいと考えられる。
感度分析の幅を±10%とすることについては、感度をチェックするためのもので、変動幅が±10%を採用するとの誤解が生じないようにすべき。

高速道路を対象とした総合評価について
波及的影響(その他外部効果)の評価指標(案)について
 
  評価指標(案)については、妥当であるとされた。
(委員の主な意見)
指標8の地域振興計画については、面積及び事業費で一律に評価することとされているが、計画熟度等も考慮できないか。(計画の熟度等については、指標16で評価することとしている旨、事務局より説明)
指標16については、地方の創意工夫やコスト縮減について、「やる気がある」と言えば評価されることにならないか。例えば「協議会の設置」など、評価を上げるために名目上立ち上げるというようなことにはならないか。(これに対し、今回の調査については、国土交通省が主体で行っており、客観性は確保されている旨、事務局より説明。)
重み付けについて
重み付けに関しては、客観的な方法は無い。
評価の方法には国としての考え方もあるべきで、例えば費用対便益の考慮の程度は示すべきでないか。
総合評価において前提とするネットワークの考え方について
ネットワーク評価を行う場合と、個別路線の評価を行う場合では、対象とするネットワークが違っても良い。重要なのは、プロジェクト評価を行って最終的な順位付けがなされた後、再度ネットワーク評価を実施するということである。
本来、対象とするネットワークを固定的に考えるのではなく、適宜見直し作業を行うべきである。見直し作業については行政の判断によるべきものである。
総合評価の使い方について

 重み付けを含めた総合評価の使い方については、学術的に算出された評価結果のみで機械的に判断するのではなく、地方公共団体の意見を踏まえた総合的な判断をする必要があり、その部分は国土交通省において引き続き検討を進めることとされた。
 今後の検討に際して、当委員会は引き続き助言を行っていくこととされた。
 
  (委員の主な意見)
総合評価結果を事後評価して手法の改善につなげていくことも目的の一つと考えられる。
ある地域でみた場合、国としての優先度と、地方による優先度が異った場合どうするのか。ただし、隣接区間での整合性等にも留意する必要があり、国土交通省として検討するべき。
そもそも、諸外国においても総合評価は多様な主体が納得するためのプロセスとして、また情報の構造化として考え出されたものである。
重み付けのプロセス等の評価手法について、例えば、本来評価上は些細な要因が結果に大きく影響するように取り扱われてしまう、といった論理的な問題点が生じないよう見ていくことは今後の委員会の活動範囲に含まれると思われる。


その他
本日の資料について、各委員に精読いただき、追加意見等ある場合は一週間を目処に、事務局宛に連絡する旨、了承された。
また、本日欠席委員の意見については、事務局側で個別に確認。
  以上

(文責 国土交通省道路局 速報のため事後修正の可能性あり)


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