道路事業評価手法検討委員会

第6回 道路事業評価手法検討委員会
日 時  平成15年7月17日(木)15:00〜17:00
場 所  国土交通省4F特別会議室
議事次第  1.開会
 2.議事
 (1)委員の追加について
 (2)第5回委員会議事概要について
 (3)客観的評価指標(案)及び費用便益分析マニュアル(案)について
 (4)道路事業・街路事業に係る総合評価について
 (5)高速道路を対象とした評価手法について
 (6)事後評価について
 (7)その他
 3.閉会

委 員 長
森地 茂
東京大学大学院工学系研究科教授
委員長代理
小林 潔司
京都大学大学院工学研究科教授
委    員
太田 和博
専修大学商学部教授
委    員
竹内 健蔵
東京女子大学文理学部教授
委    員
堤   盛人
筑波大学社会工学系助教授
委    員
 
林山 泰久
東北大学大学院経済学研究科助教授
委    員
山内 弘隆
一橋大学大学院商学研究科教授
顧    問
 
中村 英夫
武蔵工業大学教授
○は出席した委員

委員会資料   議事録

委員の追加について
   新たに太田和博委員と堤盛人委員を追加するとともに、委員長の指名により小林委員を委員長代理とする旨、報告された。

客観的評価指標(案)及び費用便益分析マニュアル(案)について
   客観的評価指標(案)及び費用便益分析マニュアル(案)について、委員会として了承された。

道路事業・街路事業に係る総合評価について
   道路事業・街路事業に係る総合評価については、今後、「検討するにあたっての基本的事項」に沿って、以下の意見(問題意識)を踏まえ、検討を進めることとされた。

(委員の主な意見)

「公共事業評価の基本的考え方」(平成14年8月:公共事業評価システム研究会)を基本とするとしているのに対し、検討事項として例示されているものには、これから外れるものもあると思われるが、よいのか。(「公共事業評価の基本的考え方」は検討の出発点と考えている旨、事務局より説明)
本委員会での検討範囲について、評価手法に関する部分のみなのか、意志決定の部分まで含むのかを明確にすべき。総合評価導入の趣旨として、「透明性を高め、道路事業に対する信頼性の向上に資する」とあるが、評価手法に関しての検討ならば、「透明性を高め」の部分までであり、信頼性向上のためには、政策判断や意思決定にまで踏み込む必要があるのではないか。
評価結果をわかりやすく公開することで透明性が高まり、恣意的な政策判断が難しくなり、結果として、信頼性が高まることにつながる面もある。
総合評価の検討においては、高速道路と同様、まず点数化の努力を行うことが重要ではないか。
総合点を算出する場合、当然、その順序で採択するものと思ってしまうが、「総合評価」といっても全ての効果が評価できるわけではない。点数化するのは、あまり賛成できない。
重み付けは、知識のある人が行うべきであるが、重み付けについて、過去の意志決定の内容をトレースすることができるのではないか。累進税率から公平性の規範を求めるように、過去の道路事業の意思決定において、明確な基準は無いにしても、重み付けは暗黙に行われているはずである。また、それは地方ごとに違うはずである。
ローカルルールを評価するなど、地方のインセンティブを引き出す仕組みとする必要があるのではないか。
総合評価にあたっても「不確実性」をどう反映していくのか、検討が必要ではないか。
評価結果は同一道路種別内での比較材料とすることが基本で、異なる道路種別の事業に対して評価可能な絶対基準のようなものを作るのは難しいのではないか。
評価単位についても検討が必要である。ネットワークがつながることによって効果を発揮する路線に対し、事業の採択区間単位のみで評価を行うことは避けるべきである。また、ネットワーク全体としての評価も重要。

高速道路を対象とした評価手法について
 評価手法については、パブリックコメントを受けた対応方針等について説明し、委員会として了承された。

 当委員会におけるこれまでの議論により、高速道路の評価手法については、具体的な指標及びその算出方法について、概ね集約された。今後、国土交通省において、必要な情報等を収集の上、具体の対象路線・区間に適用し、指標の算出を始めることとされた。

 指標の算出が行われたら、必要に応じ当委員会に報告し、更に議論を深め、また、途中段階でも、必要に応じて学術的な観点からの助言を頂くこととされた。

 「基本的な考えに関する提言」(案)の記述については、委員会における指摘を踏まえ、事務局で修正案を作成の上、各委員に送付し、意見集約を行うこととされた。

パブリックコメント等を踏まえた対応について

(委員の主な意見)
地方公共団体の創意工夫による自主的な取り組み状況の判断基準について、名目的な協議会の設置などを防ぐため、議事録の公表を課した方が良いのではないか。

重み付けについて

(委員の主な意見)
「19区間についてのケーススタディ」を見ると、いずれの区間も重み付けの違いによる評価結果の幅は小さく、安定していると言えるのではないか。(これに対し、事務局より、重み付けによっては平均値である50を上下する場合があるなどばらつきも見られる旨、説明。)

基本的な考え方に関する提言(案)について

(委員の主な意見)
P.20の「基本的考え方」について、ここだけ読むと、有料道路として採算が取れないような道路に関しては新直轄方式での整備を行う、とあるが、これは当然のことだし、採算性の悪い高速道路はどれも直轄高速として整備するのかと誤解を与える。以下のような背景を整理するべき。
  1. 本来は、無料で整備した場合に社会的便益は大きいのは当然であるが、財源の問題で有料道路制度を活用している
  2. ただし、全てを有料道路制度で整備することが困難となったことから、公団に代わる新たな組織による有料道路と、新直轄方式による無料道路について振り分けを行う必要がある
P20の(2)についても、「本来は効果が高いのに」という前提を記述すべき。(3)の(1)についても、「相対的に」ということ。
整備の是非の評価だけでなく、整備手法に関して踏み込んでもいいのか。(これに対し、P17L24に記載しているとおり、手法選択の基礎的情報としての活用を想定している旨、事務局から回答。別の委員からも、整備手法の振り分けにも活用することを前提にこれまで議論してきた旨、発言。)
地方自治体によっては「補助金を支払っても、より早く民間会社に整備してもらいたい」という場合もある。新会社単独での整備は望めない場合、新直轄では遅々とした整備しかできないなら、新会社に補助金を投入する方が良いと考えるのこともあり得る。欧米では民間会社に補助金を投入することはPFIとして普通に行われていることである。日本では、民間会社に補助金を投入することに対する抵抗が大きく、公団という組織形態が使われてきたが、組織形態に起因する問題点のため、補助金投入といった選択肢が取れなくなっているのは非常におかしい。ただ、本委員会は評価手法に関する検討を求められているのであって、制度設計に関して求められているのではない。そもそも事業自体の評価をどのように行うのかという評価手法に関する話と制度設計に関する話が混在し、混乱を招かないように留意する必要がある。

事後評価について
   事後評価項目については、基本的に客観的評価指標(案)の事後確認であるため、内容については特に問題はなく、委員会として了承された。

(委員の主な意見)

事後評価の目的は、事前のチェックどおりの効果が出ているかを確認することだけではなく、事後評価を実施することによって、事業への取り組み方の一層の改善・向上を促していくという目的がある。
個別事業に対する事後評価だけでなく、横並びを見て、道路事業全体についての評価、フィードバックしていくこと重要。
これまで客観的評価指標や総合評価の検討の中で、事後評価における検討課題とされた宿題が何点かあったはず。それを一度整理するようお願いしたい。(事務局で再確認を行うとともに、必要に応じ、各委員への意見照会を行うこととされた。)


その他
次回委員会の開催については、事務局より各委員の予定を確認して連絡。
  以上

All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport