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氏 名所 属
荒井 保明 (社)旭川建設業協会 二世会 会長

■ご意見の内容

道路整備に関する議論は現在「地方」対「中央」の構図になってきており、地方と中央における住民の価値観は相反する部分が多いが、相手の現状をほとんど知らずに一方的に切り捨てるようなやり方は許されない。冬が長く厳しい北海道には首都圏の住民には全く想像もつかない独自の課題がある。中央の有識者には厳冬期の北海道で是非ともご自身の手で冬道運転を体験して頂きたい。

○まず北海道の冬道は路面状態や視界がかなり悪いため、夏季の道路や本州の雪道と比べても移動する上で相当に困難をきわめる。北海道の道路は厳寒多雪の天候によって刻々と道路状況が変化する。急激な気温の低下と地吹雪などで路面が完全に凍結し、全く見通しのきかない「別世界」に短時間で変貌する。北海道の冬道(特に高速道路ネットワークのない都市間移動)では常に生命の危険にさらされながら移動しなければならず、市民生活をおくる上で一定時間で安全に移動できるよう「別世界」には「別世界」に合った道路づくりが必要である。

○また道路ネットワーク整備の優先度は効率化や人口の多い少ないだけでは語られるべきではない。北海道は渋滞などの課題は少ないが、地域活性化や物流の交通拠点を結ぶ道路整備だけでなく、通勤や通学などの日常生活における生活幹線道路としても高速ネットワークの整備を優先すべきと思う。また、近年地球温暖化の影響とも言われている「自然災害」が増加傾向にあることにより、重大災害への備えとしての道路整備も必要である。

○整備手法については、予算上の制約もあるが優先順位の高い必要箇所については短期間に集中して整備する事が結果としてより予算の縮減にもつながる。例えば空港等の整備や高規格道路においても需要を見ながら1期2期と分けて実施したり同一路線を区間ごとに細切れにして実施したり凍結したりしているが、結局1期工事の需要予想がギリギリのため、結果すぐに容量が飽和し続けて2期工事が必要になったり、凍結されていた整備区間が遅れて着手されたりする。計画途中で立ち止まったり見直したりすることも併用しながら、最終的に同じインフラを整備するにしても最初から長期を見据え余裕を持った計画を策定し短期間で実施する方が真に経済的で有効なお金の使い方なのではないか。