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氏 名所 属
荒木 毅 富良野商工会議所 会頭

■ご意見の内容


○今後の改善点について

 今回の論議は、財政再建の一環として、道路特定財源の一般化の延長にあると考えている。本来の道路がもつ生活安定のための安全と、経済活性化のための視点をしっかり持つことが重要である。

 道路整備は行政にしかできない。経済的地域間格差をなくすために努力しているが、都市部と同じ競争土俵にない。最低限度高速ネットワークを早急に整備して貰いたい。貰いたいと言うより、行政の責務である。お金の問題をとやかく言うのなら、大都会での道路整備を止めてでも、地方の整備をすべきである。お金がないから地方の高速ネットワークの整備をしないというのは、行政責任の放棄である。中央から道路整備をしているあいだ、地方は我慢させられてきた。これ以上の遅れは地方の疲弊を大きくする。

 当地の事例を記載する。
 旭山動物園がブレークしている。旭川空港に降りて、旭山動物園を見学し、夕方富良野に来て、雄大な自然を満喫。富良野に泊まって、次の日は知床まで走り、翌日に知床見学をして、女満別空港から飛び立つツアーがある。富良野から知床まで、バスだと休憩時間と昼食にバスを降りるだけで、8時に出発しても知床着が17時である。こんなツアーにまた来ようと思いますか?高速ネットワークが完成すると、3時間以上短縮できるのです。
こんな不利益のなか、集客している努力を今後も続けよと言うのか?

 行政の目的は「国民の安全・快適・豊かさ・幸せの為の政策を企画立案し、実行する」ことである。国民の幸せを考えると、ある程度の経済的バックボーンが必要で、このためには雇用の安定がなされなければならない。ところが地方において、この雇用が少ないのが現状である。雇用の拡大のためには経済活性化が必要である。
  圏域の経済活性化のためには、後ろ向きの政策として、圏域のお金を圏外に出さないというのが最初である。地方で、「地元で買い物をしよう」と呼びかけているのはこれである。次は域外の人に来て貰い、お金を落として貰うことである。これが観光になる。次は域内で生産したものを域外の人に買って貰うことである。素晴らしいものを生産しても、物流がしっかりしていないと、後れを取ってしまう。また、観光客は地元情報を持ち帰ってくれる。この情報により、他地域から注文が来るのである。物流と観光客の利便性を考えると、高速ネットワークがなければ他地域と競争できないのである。
  高速ネットワークの完成により、利便性が出来た後は、経済活性化をするのは地元経済界である。高速ネットワークが整備された後、その地域から流出して疲弊するのは、その地域の努力不足である。
  高速道路が地域まで来て、さらに延長された地域での話である。
通常ならば、町を通過してしまうから、売り上げが減ると思われがちだが、時間距離が短くなり、逆に売り上げが増えた店がある。それまでもインフォメーションにも力を入れ、客を各地から誘導していたが、行きやすくなったと客が増え、その客の口コミでさらに客が増えています。
  地域において、努力する企業にとって、高速ネットワークの整備は、強力な武器になるのです。
 
 安全について言うと、北海道は世界中でも稀な寒冷地であって、豪雪地帯である。しかし、冬期間冬眠するわけにはいかない。安全な生活のために、高度の除雪体制は欠かせません。北海道において国道は生活道路の側面を多く持ち、都市の病院に通うのも、国道の使用率が高いのが現状です。
  また、道道の除雪体制は脆弱で、日中でも雪が降り続くと、ハンドルを取られ、通行に支障を来すことが多くあります。
  国道の高度な除雪体制は、産業面・生活面の物流にも貢献しています。物流の大多数が道路に頼っているからです。
  (効率論だけで言うと、積雪寒冷地という行政から観るとコストのかかる地域に住み続けることが悪と見なされるのでしょうか?・・・国土防衛・国土保全をせずに、効率論だけで論議するのなら仕方がないとは思いますが・・・)
  
  以上、今後道路政策においては、地域間格差是正と地域自立の基礎を作るための地方重点投資、通常生活だけでなく、一定の生活レベルを維持するための経済活動を促進し、停滞させないための、除雪体制の一層の高度化を要望するものです。