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氏 名所 属
青山 佾 明治大学大学院 教授

■ご意見の内容

○ 道路特定財源には余剰が生じていると言われることがあるが、これは間違った認識である。

○ 我が国では都市計画決定道路の整備率が非常に低い状況にあるが(東京23区では約5割、地方では約3割)、道路は都市構造の骨格であり、道路特定財源を木造密集地の改造などの都市の改善のために活用することも議論すべき。特に、木造密集地の改造は民間では到底対応できない課題であり、優先的に財源を活用することとしてもよいのではないか。

○ 都心は、CO2削減の観点からも一般道である環状道路の整備が重要。特に、環三(外苑東通り・言問通り・三ツ目通り)や環四(外苑西通り・不忍通り・明治通り・丸八通り)はズタズタの状況であり、今後、都市再生を図るためにもこれらの道路を完成させることが必要。

○ 東京都は2016年のオリンピック誘致に手を挙げているが、これをきっかけとしてまちづくりの理念を変えなければならない。オリンピック誘致を成功させるためには東京のコンセプトを明確に打ち出す必要があるが、我が国の特色や優位性を考慮して、「省エネの都市」として打ち出してはどうか。具体的には、例えば、①2016年には東京では電気自動車(ハイブリッド又はプラグイン)しか走れないようにする、②メインスタジアムの建設予定地に決まった晴海周辺にLRTを通す、といった取組みが考えられる。仮に電気自動車が普及した場合には、「道路イコール公害源」という悪いイメージが払拭されることになるだろう。

○ 東京はコンパクトシティを目指しているが、これは、「こぢんまりした都市」ではなく「高密度都市」のことを意味している。都市が高密度になればなるほど都市内の生活道路や近隣道路の整備が必要となるが、バブル崩壊後は区道がほとんど増えていないのが現状である。

○ 20世紀は効率性の時代であったが、21世紀は快適性を追求する時代。ソウルやボストンの事例をみても、世界的に道路のグレードを高めることに財源を使う時代になっており、日本橋周辺の再生もこうした観点から議論する必要がある。