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氏 名所 属
浅岡 顕 名古屋大学大学院 工学研究科 教授

■ご意見の内容

○ 日本の太平洋沿岸での生活圏、産業圏は戦後、プレート型大規模地震の発生周期の狭間で形成されてきた。今後想定される地震には長周期の地震動や連発発生等、今の日本人には体験のない地震が想定され、地震に対する備えは重要である。地震の復旧活動を進める上で道路のネットワーク化、代替路線整備は特に重要である。

○ 日本は戦後、高速道路から一般道路までを同時期に整備を進めてきた経緯があり、施設の老朽化が集中する傾向がある。その対応はきわめて重要で、構造物の補修、老朽化に加え切土法面の対策なども実施しなければならい。

○ 道路の維持管理に莫大な費用が必要な事が、まだよく国民に理解されていない。道路は放置すればたやすく「遺跡」になってしまう。道路の機能が商工業はもちろん、幅広く国民の日常生活に欠かせないものであること、そしてその機能の維持のためには日常的なメンテナンスが必要である事等、学校の社会科の授業などでも説明すべきである。

○ 道路整備の早期効果発現の観点から暫定供用が実施されているが、完成費用との差額を踏まえると、完成による効果発現の時期を遅延することはムダであり当初より完成形整備を行うべきである。特に環状道路は、都市内通過交通を排除する観点から重要な施設であり早期に整備すべき。

○ 日本経済を支える物流に係る費用を運送業者事業者のみが負担するのではなく、物流により利潤を得ている荷主(企業)からも料金を徴収する制度を考えてよい。

○ 高速道路のICをふやし料金を引き下げることは、一般の道路利用者の強い希望である。道路料金体系の一元化とあわせて検討を始めてほしい。その際、距離別料金は基本かも知れないが、交通流の最適化を促す料金体系の考えも検討してほしい。

○ 道路特定財源を目的外に使用することは筋が通らない。公共交通(鉄道やバス)も含めて総合的な交通財源にするのがよい。また何時までもガソリン税に頼るべきではない。今後低燃費車やCNG、燃料電池自動車等の増加に対応して、将来の財源確保の仕組みを今から検討すべきである。

○ 今後人口の減少、都市回帰の拡大等も踏まえ、快適な都市生活のためには都市における自動車の総量がどれくらいであるべきか、自動車の総量規制のことだが、検討を開始してはどうか。無秩序な交通需要の推移をそのままにして、需要後追いの道路行政には限界がある。その際、世代間の平等性を踏まえこの時代で使えるエネルギー量の考慮も必要であろう。