閉じる
氏 名所 属
平松 幸三 京都大学大学院 アジア・アフリカ地域研究研究科 教授

■ご意見の内容

【道路政策の改善点】
○道路を機能別に分類し、主として交通を担う道路と生活空間たる道とで異なる施策をとるべきである。住居地には交通を主たる機能としない道路を増やして、子供が遊べるようなコミュニティーゾーンと位置づけたい。
○自動車は単体規制により、騒音をかなり押さえている。しかし、自動二輪は半数が改造マフラーを用いており、また細い路地にも入り込むことができるため、騒音被害を広げている。取り締まる方法を考慮すべき。
○騒音に係る環境基準の特例(幹線交通を担う道路に近接する空間)については、都市部において主に窓を閉めて生活する地域を対象として定めた経緯があり、全国一律に地方部でも適用することは本来の趣旨に反する。もっと柔軟に対応すべき。
○騒音については、個人でも寝室を道路と反対側にするなど対策のしようがあるが、振動は対策が難しい。そのため、特に大型車の対策が必要である。
○WHOでは、Leq(うるささの指標)のみでなくLmax(人体影響の指標)での評価も必要としている。行政としては、特に睡眠妨害となる夜間騒音について対策を講じるべきである。

【道路政策の重点化】
○法律において、すべての道路を交通に特化したものと位置づけているが、本来は街道(幹線道路)が交通中心、街路や路地は生活の一部であった。それぞれの道路の機能を分けた政策が必要。
○今後は、高齢化がすすみ、社会全体が縮小していく。コンパクトシティーなど、縮小する社会を見越した政策が必要。
○将来自動車が進化して、高度の安全性を獲得したり、電気自動車が普及したりすると考えられる。そのとき自動車の形状や走行態様が大幅に変わり、それに対応する形で道路の利用や構造も変化が求められるだろう。たとえば信号系統、路面の白線等の表示、路側に電波発信装置を取り付けるなどを組み合わせることによって、自動運転が可能となるなど。

【その他】
○騒音予測について、ASJ Model以外の予測手法も用いるべき。最近では、背後地騒音も予測できるプログラムもある。
○騒音のみの側面から言うと、幹線道路に交通を集中させた方が効率的に対策が可能。交通を分散させると、騒音被害を広げることにもなりうる。
○住民の申し立てに対して国の姿勢が硬直しすぎているのではないか。もっと柔軟に対応すべき。今後、行政決定も絶対ではない時代がくる。