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氏 名所 属
兵藤 哲朗 東京海洋大学 海洋工学部流通情報工学科 教授

■ご意見の内容

1)これまでの道路政策の改善点
・量的な(例えば台キロなど)拡大を基調とした道路施策が中心となっているが,今後は全般的には「減少の時代」.その曲がり角を見通した政策転換が十分議論されていない印象を持つ.
・渋滞悪化区間も多いが,需要減でサービスレベルが向上している地域もある.施策の濃淡はそれらの地域で異なるが,特に後者について,従来の容量拡大とは違う新しい視点に基づく政策が必要とされている.
2)無駄を排除など,今後の効率化をはじめとする道路施策の重視点
・容量拡大が必要な地域では重点的に早期整備を目指すべき.容量が充足している地域でも,「自動車が走行する道路空間」という制約にとらわれず,人や物の移動をサポートする立場から,多様な政策を俎上にのせるべきで,効率化のかけ声の下,施策検討対象から外すべきではない.
3)道路に関する無駄な事例
・道路は長期間にわたり利用される社会資本であることから,「無駄」の有無を判別する場合,常に長期的な視点を忘れずに議論することが肝要である.数年後の最適解と二十年後の最適解が一致するわけではない.
4)今後の優先度の高い課題は何か?
・容量充足地域(区間)における道路空間の再配分
・大型トラック,コンテナ対応の道路ネットワーク整備(これは確実に容量不足が深刻になるケース)
・大地震多発期間を迎えた首都圏における耐震強度対策
・維持管理費用削減に資する新たな技術開発
・環境負荷量削減のための道路構造・線形の工夫
5)国民から意見を収集する際の留意点
・出された意見へのフィードバックが大切である.情報の一方的な吸い上げだけでは,対話することにならず,信頼関係を築くことができない.
・紙だけではなく,ネットでサポートされるソフトなどを用いた,楽しく・簡単で・ビジュアルな意見収集システムの開発を期待したい.今は,紙に向かって文字を書く時間より,携帯やキーボードに向かって自分の意見をまとめる時間が長い人が多いのでは?