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氏 名所 属
細見 正明 東京農工大学大学院 共生科学技術研究院 生存科学研究拠点 教授

■ご意見の内容

(今後重点化すべき課題)
・将来の課題としては、環境と高齢化社会への対応が重要と考える。
・環境については、地球規模で考えた場合、如何にCO2を減じるかが重要。これまでの道路整備の結果、渋滞減少によるCO2排出削減効果もあったが、その一方で、自動車需要を喚起しすぎ、CO2排出を助長した面もあるのではないか。
・今後、電気自動車や水素自動車など、CO2排出量削減につながる技術の普及が期待される。道路サイドで、そのような新たな自動車の普及につながるサービスが提供できれば良い。例えば、電気自動車の充電施設を、道路の付属的な施設として整備すれば、電気自動車の普及を支援できるのではないか。
・自転車道の整備はCO2排出削減に効果的と考える。比較的なフラットな地形の地域において自転車道を整備すれば、車から自転車への転換が進むことが期待される。
・高齢化社会の到来は確実であり、そのための準備は必要。老人の比率が高まる社会おいて、道路の果たすべき役割を考えた上で、整備すべき事業を検討すべき。例えば、歩車分離を進めれば、高齢者の社会進出が容易となる。
・「まず道路ありき」で考えるのではなく、地域の政策を実現していく上で、様々な交通機関と比較し、道路や道路財源がどのような役割を果たすのか考えるべき。例えば、鉄道の連続立体事業には多額の道路財源が投入されているが、地域の一体化、高齢者への配慮などから見れば、良い事例である。

(国民に意見を聴く際の留意事項)
・道路が、地域や産業の発展等にこれまで果たしてきた役割をもっと説明すべき。
・また、道路整備のプラス効果とマイナス効果の両方を示すべき。近年、マイナス面だけを強調するマスコミ報道も見られるが、行政は、きちんと両方を示し、国民に意見を聞くべき。また、国民が主体的に道路のあり方について考えるような情報提供を行うよう努めるべき。
・これまでの行政は、「道路をつくってやっている」という、おごった部分があったのではないか。都市と地方、年齢等、階層別に道路に対するニーズは異なる。きちんと公平な情報を提供した上で、国民のニーズを把握することが重要と考える。
・国民に対して、複数回フィードバックしつつ、合意形成をはかるべき。

(その他の意見)
・国民側の課題として、税金の使途への関心の低さがある。自分たちの税金がどのように使われているのか、それが納得のいく使途なのか等について、もっと関心を持つべき。
・道路の必要性は、B/Cのみが絶対的なものではない。地域によっては、道路が生命線であるところもあり、B/Cだけでは必要性を論じきれない。
・これまでは、道路利用者のうち、自動車を重視してきたとの印象がある。高齢者や歩行者など、その他の国民ニーズにシフトしていくべき。