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氏 名所 属
藤原 知明
岡山 一郎
(株)山陽新聞社 論説委員会 主幹
        同           委員

■ご意見の内容

 そもそも、道路特定財源の一般財源化そのものが税の理論としておかしい。特定財源が不必要なら廃止するのが筋である。そういう意見が今回のアンケートでは回答できない。アンケート中にも『無駄』という文字が多用されており、国交省自らこのような質問をすべきではない。国交省として逆転を目指していくべきである。あきらめてしまったのか。税全体の中での税制問題として捉えるべきである。

 今後、新規路線を沢山整備する必要はないと思うが、ネットワークとして考えた場合、ミッシングリンクはつなぐべきである。つながない方が遙かに壮大なる無駄遣いとなるし、『開かずの踏切』など一部の改善で効果が出る事業もたくさんあるのだからそちらもやるべきである。歩道整備、自転車道整備、LRTなど既存の道路の機能向上をしていく時代になってきている。一般財源化する前に既存施設の機能向上など道路周辺の事業に特定財源を充当すべきである。
 道路行政の何が無駄なのかと言えば、今あるストックを有効活用しきれておらず使えない道路になっている。ハード面・ソフト面双方で手を加えれば使いやすくなるところはたくさんあるのにうまく使い切れていない。有料道路などの値下げなどし活かしていけば無駄とは感じなくなる。しかし現状では、本四連絡橋など五千円から四千円に値下げして交通量がいくら増えましたというレベルで胸を張っており、ワンコインで通行したいというユーザーのレベルとの乖離は大きい。
 
 日本の経済発展のためには物流コスト低減が最重要であり『小泉構造改革』においても物流の効率化、コスト低減が大きなテーマであった。いつの間にか歪曲され『道路』=『無駄』という議論に陥っている。いくら海外から安いものが入ってきたとしても国内輸送コストが高いために全体的にコスト高になっているのは周知の事実である。命題とされていた物流コスト低減がいつの間にか消えてしまっている。
 中央のマスコミも環状道路など一部東京の道路は必要だが『地方の道路』=『無駄』という論調であり、地方紙においても一般財源化の問題を改革と捉えているところが多く、本質を捉えていない。
 公共工事の官製談合で発生する『無駄』と今回の『道路』=『無駄』を混同し議論することは意味が無い。入札契約制度の適正化や天下りの問題は別に議論すればよい。