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氏 名所 属
福田 督 中国経済連合会 会長

■ご意見の内容

Q.これまでの道路政策について特に改善すべき点
・ 人口減少の中、国が生き残っていくためには成長戦略が不可欠。そのため、効率的な産業活動を支えるインフラを整備していくことは非常に重要な課題。
・ 中国地方は他の地域に10年ほど先駆けて高齢化社会を迎えており、地域がいかに発展していくかということが課題。そのため、生活者重視の視点を踏まえつつ、地域の持続的成長を支える道路の整備が必要。
・ なお、地域間競争は必要なことだが、スタートラインを揃える意味でも、道路の整備は不可欠。
・ これまでの道路政策で評価できる点は以下のとおり。
@ 住民の理解を得るための取組み(PI、アウトカム指標の導入)
A ITSの技術開発および導入
B スマートICの導入など、既存ストックの活用とともに地域活性化を図る方向性
C 新直轄方式の導入による事業推進の取組み
D バイパス整備など必要な箇所から必要に応じて事業化する弾力的な運用
・ これまでの道路政策で改めるべき点は以下のとおり。
○ いつまでに行うという目標宣言がないと、地域も道路整備を起爆剤として活かせない。

Q.効率化を図るべき点
・ 今後20〜30年間で、耐用年数を超える設備が増えてくるが、長寿命化対策等により、既存ストックの有効活用などを図り、道路整備ならびに管理にかかるコストの低減を徹底すべき。
・ スマートICの導入や通行料金の値下げを行い、既存の高速ネットワークの利便性の向上等、有効活用を図るべき。
・ 新規事業を行う場合も、地域の状況に即した最適な規格(1.5車線化など)の採用や工法の工夫等によるコスト削減を意識した工程管理を徹底するべき。
・ 中国地方は約8割が中山間地。全国一律に費用対効果だけで判断するのではなく、ナショナルミニマム(安全・安心、国土保全、過疎化地域対策等)の考えも加味して、「真に必要な道路」は何かを検討すべき。その際、地域社会と十分に議論する場が必要。

Q.道路に関して無駄と感じること
・ 高速道路や自動車専用道路の渋滞は大きな損失である。建設途中や供用後の地域環境の変化を踏まえた見直しとともに、供用後も住民の意見を聴くなど、道路の有効活用策等を継続的に検討していくしくみも必要。

Q.道路政策の重点化を図る上で、優先度が高い又は低い課題への対応
・ 中国地方を考える上で、3つの重要な前提条件がある。「地域間格差(山陽と山陰、中国地方と全国の他地域)」、「中山間地の過疎化」、「安全・安心」である。これらの前提条件を踏まえて優先度が高い政策について意見を述べる。
@ 地域経済の維持、自立を図る道路整備、すなわち地域高規格道路と高速道路のネットワーク化が必須。道路は、ネットワーク化されてこそ、機能を発揮する。現在整備中の中国横断自動車道の早期供用、ならびにバイパス方式で逐次整備されている山陰自動車道の整備計画路線の格上げおよび早期供用が必要。特に、山陰自動車道路の早期供用が重要。山陰に光を当てない限り、道州制でも中国地方は生き残れない。
A 災害に備えたライフラインおよび物流経路のリダンダンシー(代替道路等)の確保。特に山陰側では国道9号が唯一の幹線道路であり、最近ではH18集中豪雨の時などは迂回路がなく支障を来たした例がある。
B 高速ネットワークにアクセスするための交通網も不足しており、国際コンテナの通行難所の解消も必要。例えば、国道9号では6本のトンネルが難所であり、特定重要港湾である広島港と高速道路の連結も実現されていない。早急な対応が望まれる。
C 高次医療施設への広域的アクセスの強化。特に過疎化・高齢化が進む中山間地域における、緊急車両の通行や病院への通院、買い物等に必要なライフラインとしての道路整備。
D 中国地方は都市分散型の構造をなしているため、都市間を結ぶ道路整備を進め、広域的な交流を促進することが重要。
E 生活者のための道路整備も必要。住みよい町には人が集まり、地域経済の活性化や税収増も期待できる。

Q.国民の皆様に幅広くご意見を頂く上で特に留意すべき点
・ アンケートを拝見する限り、日頃から問題意識を持っていなければ、回答しづらいのでは無いかと思う。そこで、企業IRを見習われれば良いと思う。国交省でも道路IRサイトがあるそうだが、IRのやり方も日進月歩で変わってきており、よりよい方法を検討されると良いのでは。
・ 通勤に利用する者、レジャーに利用する者など、回答者の属性によって意見が異なるのは当然。どのようにしてコンセンサスを醸成するのか、その方法論も議論の対象とすべきではないか。

Q.その他
・公共交通機関、自転車と共存できる取組みも進められると良い。
・道路整備の必要性を判断するにあたり、費用対効果が重視され過ぎると中山間地域を抱え、かつ人口の少ない山陰地域は立ち行かない。
・道州制は、地域の生き残りを考えるよい機会。ただし、基本的な社会資本等の地域間格差を残したままの導入は問題がある。道州制をスタートさせるために必要な道路整備はどうあるべきかを明確にすべき。