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氏 名所 属
伊藤 達雄 名古屋産業大学 名誉学長・特任教授

■ご意見の内容

・以前は公害というと騒音や排気ガスなど沿道型公害であったが、近年は道路建設に当たって動植物の生態系分断への配慮など、地球環境型へ移行している。
・以前の道路建設は人口増加と産業発展を支えるインフラとして効率第一主義が重視されたが、いまは人口減少、高齢化という新しい社会構造に対応する道路づくりが求められている。
・例えば、日本の道路のバリアフリー化は遅れている。ベビーカーや車椅子が使えない道路が極めて多い。車優先の道路政策の根本的変革が求められている。
・「みち」とひらがなで書いたときの道路のもつ意義を改めて考えて欲しい。主婦、学童、高齢者クラブなどから意見を聴いてはどうか。
・早晩、既設道路の維持管理のための手入れが必要になる。そのときには自然環境、人間環境に配慮した道路のあり方に即した道路整備政策を確定して取り掛かって欲しい。
・道路行政の1本化を。陸の道、海の道、空の道の整備には旧来のお役所の壁は取り払って欲しい。陸の道に「道の駅」制度があるなら、「海の道の駅」や「空の道の駅」ができてもいいのではないか。林道や農道も国民にとって同じ「みち」である。無駄な道路というものはない筈だが、行政がバラバラに行っているところに問題があるのでは。
・道路をつくるのに昔に比べて手間も金もかかる。だからこそみちづくりの重点施設が求められているのであろう。
・松阪−熊野間の運行していた南紀特急バスが、紀勢自動車道が大宮大台へつながったのを機に、起点を松阪から三重大学へ移した。これによって紀州路の住民にとって大学病院へのアクセスが格段に改善され、大変喜ばれている。こうした費用対効果の算定方法が必要だろう。