閉じる
氏 名所 属
井上 隆 青森大学 経営学部長・経営学科教授

■ご意見の内容

◆今後の道路政策における効率化のポイント
・道路政策の効率化のポイントの一つはITSの推進。北東北地方は概ね、行政サイドでも道路利用者サイドでも、道路利用者サイドでも、ITSに前向きとは言えない。ITSの普及は、渋滞緩和、事故削減、施設の有効活用につながり、総体として道路行政の効率化に寄与する。課題は、どのように普及を図っていくかだが、全国一律の普及策は成り立たないと思う。地方毎、地域毎に、普及シナリオを考案すべきだと思う。
◆今後の取り組む道路政策の優先度
・国交省・道路局「平成19年度道路政策7つのポイント」は分かり易く概ね良く出来ている。が、道路政策の優先順位は地域毎に違う。地域性・地方性をもっと重視、強調する。全国を数ブロックに分け、ブロック毎に、どこに重点を置くかの施策を立てアピールする。大都市圏の場合は、渋滞緩和・騒音防止・交通事故抑制・沿道緑化などの優先度が高いと思われるが、北東北地方では、大都市圏に比較して道路以外の交通システムが脆弱であることから、地域間交流・連携を支える(少子・高齢社会対応型)ための道づくり、自然災害(雪を含む)に強い道づくり(迂回路敷設を含む)等の優先度が高い。
◆その他
1.道路政策に関する改善点
・これまで、どちらかといえば、新しい道路(バイパスを含めて)の敷設や路線延長に取り組んできたと思うが、これからは既存道路の改良や管理業務にもっと予算と人員を投入してほしい。例えば、施設面では、渋滞対策・雪対策としての道路拡幅、通学路を中心とした歩道整備、自然災害対応型維持管理業務=保守点検・修繕(特に橋梁やトンネル部分)強化や道路周辺整備(緑化を含む)、融雪システム埋設ポイントの拡大など、ソフト面では冬期の除排雪の徹底など。
2.道路に関して感じる無駄
・県内には、道路利用者から見て「ムダ」と思われている「みち」が少なくない。ここでいう「みち」には、国交省・県道路課等の敷設・管理する道路だけでなく、農水省・林野庁関連の「農道」や「林道」も含まれる。所轄・管轄・予算は別組織と言っても、一般国民・道路利用者にとっては同じことで、規制がない限り自由に使える同じ「みち」である。国道バイパスと農道が並行して延々と続いていると、多くの国民は「道路行政のムダづかい」と受け止める。省庁間の綿密な調整、さもなければ、道路行政の一元化(あるいは調整機関の新設)すべき時代に来ているのではないか。
3.幅広く意見を聞く上での留意点
・国民一般に対してだけでなく、政治や他の省庁に対しても、公共事業一般・公共投資一般の中で果たしている道路の役割・機能について、その重要性について理解してもらう工夫が必要である。そのような事実・情報を提供した上で、意見を出してもらう。
4.その他意見
・「道路特定財源の一般財源化」のこれ以上の拡大は阻止すべきである。道路は造る時代から保守・点検・修繕・管理・利活用の時代に移ってきているが、それには膨大な経費がかかる。このことをもっと強くアピールすべき。保守・点検・修繕・管理などを怠ると、国富が劣化し、70〜80年代のアメリカのハイウェイのような諸問題が起きてくる。