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氏 名所 属
石塚 正秀 香川大学 工学部 安全システム建設工学科 准教授

■ご意見の内容

改善点:
@道路特定財源のしくみと運用・あり方:
1)現在の道路特定財源は受益者負担となっている。JHの解体の時にも議論となったが、受益者が不利にならないような仕組みを作っていかないと、国民の不公平感を生むことになる。
・トラック業界や自動車業界など車両を使った会社への負担が過度に大きくなる。ただし、この業界自体は道路への負荷は大きいことは否めない。そこで、CO2削減への努力目標と規制を行うということを条件に道路税を引き下げるといった、両面からの政策が必要。
・道路特定財源の仕組み、運用のあり方を改善すべき。
・税率の高さと残金が、「無駄」という意識に変化する。
2)道路特定財源は受益者負担という立場を取っている以上、一般財源への補填は無理がある。
  →十分な説明
  →消費税率との関係
3)税のしくみとして、もし道路特定財源がだぶついているのであれば、揮発油税・自動車重量税などを安くするべき。道路特定財源の余りを一般財源にまわすのではなく、消費税率を上げることにより、税収全体の枠を維持していくことが肝要。
  →車に乗る人だけが負担する必要があるのか?
  →道路は自動車だけが利用しているのでなく、歩行者や自転車も利用している。
4)地方自治体と国との間で道路事業や費用負担配分に関する共通認識を持って、柔軟な対応を行っていくことが必要である。
5)予算がないのに必要だから作るためには、将来計画が必要。数多くのシナリオを作成し、国民に理解を求める。
6)道路特定財源の透明性
7)道路建設計画に基づいた税率の変動
  →必要な時に多く払う。必要でない時は少なく払う。
  →都市と地方との格差だけでなく、地方における地域間の格差も発生してしまう。
  →税のしくみを複雑にしても困る。
  →日本の風土や地形に合わせたオリジナリティが必要。
・柔軟な対応が可能であれば、利用者に理解がされやすいのでは。
8)財源が余ったら次年度、利用者に還元する。→利用者の払いすぎの抑制
  ←受益者負担型税のあるべき姿
A利用者の立場にたって道路の必要性を考える。

道路施策の効率化:
1)交通システムとの組合せなどソフト的な対応で、対処できる部分はないか?信号機の不連続性などはドライバーの運転心理に大きな不快感を持たらす。
・既存の道路をうまく活用する。活かすことで予算を浮かせる。
2)道路は町づくりと大きな関係がある。道の規模によって、その道を利用する人の移動空間規模が異なるし、利用者の意識も違う。優先順位を考えるべき。

高速道路:高松→大阪

バイパス:高松→丸亀

中:大学→市内

小:家→近所のうどん屋
・道路のスケールに応じたニーズ調査を行い、切り分けていく必要がある。ただし、それぞれのスケールが独立しているわけではなく、入れ子状に組合わさっており、その調整も必要。
・道路の役割分担、利用目的にあった分担など、道路の連携を考えることが必要。
・まちづくりも含めて面的に考える必要がある。

無駄:
1)同一箇所での複数の配管埋設などの道路上の工事
2)年度末の道路工事(大規模工事と予算規模が異なる?)
・予算が余っているから工事しているように見えてしまう。
3)必要以上の自転車の地下道、歩道橋
4)有料道路(お金を払ってまで利用したくないと思われると、無駄に感じられる。)
・作ったが使われない施設は無駄に感じられる。有料道路も同じ。
・基礎となるニーズ調査が必要。

優先度が高い課題への対応
1)住民参加と地元説明
2)地方自治体の予算負担の軽減
優先度が低い課題への対応
1)地方自治体へ事業と予算の移管

トータルコスト:
1)立体交差化や右折レーン、右折信号などの設置による渋滞解消が、経済損失の低減や排ガス抑制によるCO2削減に寄与している。建設に関わる費用だけでなく、エコや環境・社会機能の効率化といった点の評価を加えてマクロに道路事業を考えていく必要がある。

住民との関係:
1)国民に広く持続的に分かりやすく説明していく必要がある。問題点を隠すのではなく、明らかにして、住民と一緒になって課題解決に向けた計画を立てることが必要。
2)年度末の道路工事とそれによる渋滞は、住民に対する道路工事への不信を招く大きな要因と思われる。→予算消化?
→現在、そうでないのであれば、説明不足。
3)ダムについては、大きくバッシングされたため、かなり努力していると私は感じる。
4)歩道の整備
・道路はみんなが使う物、使っている物(車だけが使っている物でない)との認識を広く持ってもらうPRが必要。
・車輌の利用者だけが使っているわけではない。
→消費税や地方税として歩道整備の予算を確保できる根拠となる。(不公平感の解消) 
広報:
1)道の駅は成功していると思う。これをさらに有効に活用していく方向を考える。
・道の駅を拠点として有効活用してPR活動を積極的に行う。
・道の歴史や背景自体から興味を持ってもらうことで、意識改革をしてもらう。
2)道というものは、今、ふっと湧いてできたものではなくて、街道などの古い歴史の中で拡張・整備されてきたものである。道の歴史的な背景と今を考えることは面白い。
3)小学校や中学校・公民館での、道の歴史に関する講義や体験といった活動を積極的に行い、地域の人に周辺の道に興味や愛着を持ってもらう。