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氏 名所 属
磯田 節子 八代工業高等専門学校 土木建築工学科 助教授

■ご意見の内容

○ 道路整備は、経済優先・企業優先でなく、人間の居住環境優先で今後進めて欲しい。

歩道の整備が遅れている。今後、中心市街地では、むしろ、車道を減少させ歩道を広くするべきである。
○ 道路行政は、これまで”自動車交通”を主体として進められてきたと思う。これからは”居住環境整備”のための道路づくりにシフトしてほしい。歩行者を中心に考え、公共交通機関優先にすべきである。公共機関が支援してでも、公共交通機関を整備するべきである。車がないと移動できないというのでは、けっして豊かな生活・社会とは言えない。
  この3月に見てきたフランスのパリやリヨン、ニースでは、車線を狭くして歩道を広くしたり、LRT等の公共交通機関の整備やレンタルサイクル事業等が積極的に進められている。日本も市街地中心部に自動車をなるべく入れない施策を実施すべきである。LRTは熊本市のような都会では可能だが、八代市のような都市では難しい。そこで可能性があるのがバスである。バスは公共交通機関としてもっと評価されてよい。コミュニティーバスは各地で成功例があり、一般に知られてきているが、即導入すれば成功するわけではない。地域地域で、知恵を出し合って、便利で、使い勝手のよいバスを考えてはどうだろう?
○ 物理的に美しい道路(景観)づくりを進めてもらいたい。
  一つは街路樹などの植栽。熊本の街路樹をみていると、管理者は苦労しているようだ。例えば、第二空港線の楠が植えられている景観はスケールが大きく見事だが、農地に日があたらないということで間引きされたりしている。
 豊かな街路樹は、熊本の酷暑を和らげてくれる。また、高級な住宅街と言われる所には必ず豊かな街路樹があるものだ。豊かな街路樹や緑環境が豊かな住環境を形成する。
 これには、沿道の人々の協力が欠かせない。これからの大きな課題と考える。
 もう一つは、街灯、ガードレールや歩道のデザイン。街灯の美しいデザインを希望したい。またガードレールは安全性が第1義に求められるが、デザイン的考慮を希望したい。実際に確認できなかったが、ニースでは木を用いたガードレールがあるという。
  景観の良い道路は、遠回りしても通りたくなる。
○ 地域の歴史に配慮した道路整備をお願いしたい。
  例えば神社の参道を大きなバイパスが横切っている場合がある。これは、健軍の八丁馬場の事例だが、地域の歴史の連続性を断つものである。よい街づくりのためには、できるだけ山や川、地形、そして歴史は継承していきたい。一般に建築は立て替えられていくが、地形は残る。基本的には道路は大昔から継承されてきている場合が多い。歴史を把握した上で、新たな道路計画をキチンと立てて欲しい。そのような場所は計画線を迂回して通る等の配慮がほしい。道路づくりは、単に線の計画でなく、土地利用計画の一つとして考えるべきだろう。
○ これまでは、どちらかというと、歩車分離の考え方。これからは、基本的に歩行者の為の道路だけれども、歩行者並みの速度の車の進入は可とする道路をもっと取り入れてはどうだろうか。
○ 自転車専用道の整備を。車から自転車へシフトできる環境づくりを求める。
○ 狭い道路というのは、意外と悪くないもの。お互い運転手の顔ををみて、謝ったり、譲られたり。道路でコミュニケーションが生まれるのは狭い道路。