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氏 名所 属
石原 由美子 十勝21の会 会長

■ご意見の内容

【■道路政策全般について】
過疎が進む小さな町を多く持つ北海道では、公共交通機関の状況はとうてい満足と言えるものではなく、自分の行きたいところに自由に行くことすらできないのが現状である。そのため、北海道民にとって“車”はなくてはならないもの、生活の足そのものであり、“道路整備の重要性”は、首都圏に暮す人々には想像もできないほどの重い意味を持つのである。

【■今後の道路政策において優先度が高いもの】
 @高速ネットワークの整備:昭和41年の7,600 km のネットワーク計画では、全国的にはほぼ完成されているのに比べて、北海道では未整備区間が未だに残されている。昭和62年の14,000 km の計画においても、本州ではさらに密度の濃いものになっているのに、北海道の整備は後回しとなっている。昨今、「格差社会」という言葉が新聞紙上やマスコミなどを賑わしているが、道路においても北海道は「格差」を受けている。同じ日本国民であっても、暮す場所によって格差があっていいわけはない。いくつもの空港を持つほど広い面積を有する北海道では、主要な街と街をつなぐ高速ネットワークは不可欠である。また、生活の上での移動は勿論のこと、緊急を要する医療においても、災害時の代替道路としても、物流面でも、北海道の高速ネットワークの整備は最重要事項である。これがなければ、私たちは安心して暮すことはできない。整備に関しては「コストと効果」のことがよく言われるが、コストで計れないものも多くあるはずである。“命”もそのひとつである。国の構えとして、全国一律の、国民が安心して暮らせるための高速ネットワーク整備をするべきである。それが、国の義務と役割のはずである。

 A冬道・雪道に強い道路整備:一年の半分以上が氷と雪に閉ざされる北海道では、冬の道路状況は切実である。生活道路での除雪などの問題もあるが、より安全により速く移動できる道路の確保は大切である。私たちは、冬の道路を命をかけて走っている。どんなに雪が降っても吹雪になっても、生活をする上では危険を承知していても、車で走らなければならない人たちが大勢いるのである。凍結に強い道路の開発、地吹雪などに対応できる照明やサインの設置、情報提供のシステムの充実など、道民すべてが望むところである。

 B地域住民との情報の共有:道路を整備する側と、それを使う住民とのコミュニケーションが圧倒的に不足している。一般の人たちは“道路”について非常に認識が薄い。「あるのがあたりまえ」という意識がほとんどであり、その重要な役割について考える人は少ない。しかし、道路がなければ基本的な生活すらできないのである。そのことも、意識の中にはない。今後は「自分たちが道路を使っている」という意識をもち、そのために自分のできることを考えていくことも必要である。道路を整備していくことも大事だが、“住民の道路への理解”を深めていくことも今後大変重要になる。住民や一般の人々とのコミュニケーション活動のシステムを構築していかなければならない。