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氏 名所 属
飯田 克弘 大阪大学 工学研究科地球総合工学専攻 准教授

■ご意見の内容

○ これまでの道路政策の改善点、道路政策の無駄について
・ 公共事業の意義を論じないままの、道路特定財源の一般財源化論には基本的に反対。ただし現状では公共事業の意義(何のために作ったか、お金を使ったのか)について十分な説明がなされておらず、国民の理解が得られていないケースが多い。
・ また意義を論ずる場合、道路の渋滞解消など、これまでに用いられていた指標や断面的な観点だけでなく、時間経過の中で評価される効果、波及効果、公共インフラのストック価値などを公正に評価するべきである。


○ 今後の道路政策について
・ 歩道整備を行うと、機能面だけでなく、町並みのイメージが良くなり、沿道の店舗の資産価値が上がることが多い。諸外国では、事前にこの効果を説明することでキャピタル・ゲインを民間から得て開発をするケースが多く見られる。公平性の議論もあり、いきなり導入することは難しいかもしれないが、公共事業の意義を理解してもらうと同時に、財源を確保する方法の一つとして検討する意義はある。
・ たとえば路上工事に関する不満はあいかわらず高いが、少なくとも大阪府下では、この10年で様々な工夫によって、路上工事数を縮減している。しかし、この縮減に関する努力、インフラ維持のために必要な工事量は国民に周知されているとは言えない。中期的にはこのような情報提供・広報を行うと同時に,短期的には工事期間・範囲の周知を行うべきではないか。

○ 幅広く意見を頂くことに関し特に留意すべき点
・ どのようにして、幅広い層の多くの国民に関心を持ってもらうかが重要。行政機関のホームページにはいろいろな情報が掲載されており、これを活用してもらえれば、公共事業の意義が説明できると同時に、意見収集が可能となる。しかし現状では、ほとんどの人がそれにたどり着けていない。民間ベースで見れば、大手ポータルサイトや有名サイトと連携したり、ポイント制などを活用して自社サイトの閲覧数の向上を目指している。このような現状の動向に沿った工夫も必要ではないか。
・ またアンケートを行う場合でも、単に設問を並べるだけではなく、アンケートを通じて公共事業を周知・広報する姿勢が重要ではないか。このためには、アンケートのレイアウトだけではなく、(結果の公表も含めて)繰り返し集中的にアンケートを実施する等の工夫が必要である。