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氏 名所 属
神野 信郎 東三河懇話会 会長

■ご意見の内容

Q これまでの道路政策に関して、特にどのような改善点があるとお考えですか。
 ・ 国としてのグローバル化、国際化を念頭に、世界の中の中部という国際経済の目線で考えるべきである。

 ・ 三河港は日本最大の国際自動車輸出入港であり、また国際的な自動車関連の生産、流通、人材教育の拠点である。この観点から、三河港の道路整備は著しく遅れている。

 ・ 中部として、国際的観点から国際競争力のある地域基盤作りを進めることが重要である。

 ・ 国際的戦略として、例えば自動車輸入補修部品は最も遠方でも1日圏内としなければならず、港の後背圏を拡大できる様、港と道路が一体となった国家的流通基盤プロジェクトが必要である。ダイムラークライスラー、ワーゲン、フォードなどの三河港を日本の主要基地としている世界企業はもちろんのこと、トヨタ、スズキ等の国内企業も自動車輸出の日本の玄関として港湾の機能向上のために道路整備を早急に期待している。

 ・ 三河港背後地域経済圏(湖西を含めて工業出荷額6兆円と岐阜県5兆円以上)が有効活用されないのは、国家的な損失である。

 ・ 自動車産業という日本の最も重要な産業の活用を、国際的な観点からの道路政策として考えるべきである。


Q 今後、道路政策においては、無駄を排するなど効率化を徹底する必要があると思いますが、特にどのような点を重視すべきとお考えですか。
 ・ 地方経済圏(たとえば名古屋40km圏外)の道路整備が悪く、地域格差が生じている。

 ・ 東三河地域のみで約4.6兆円の経済規模(工業出荷額:名古屋市3.5兆円より遙かに大きい)がある。それに見合う道路整備が求められている。

 ・ 東海道ベルト地帯の整備(特に第2東名全線開通)が重要であり、東三河・西三河の道路ネットワークと周辺開発の整備時期を合わせることでの効果は大きいと思われる。

・ 東海北陸自動車道と三遠南信自動車道をペアにすることで、太平洋と日本海を結ぶ中部の広域的な広がりも期待できる。三遠南信地区の経済力は県ベースで全国第6位であり、三遠南信自動車道の開通によって生産・流通・観光面で中部をリードする潜在パワーを秘めている。中経連的に見れば、道州制を見据えた場合の基幹ネットワーク(広域交通)として、三遠南信自動車道や伊勢湾口道路は重要である。名古屋を中心都市とした場合、200万都市のみでは弱い、さらなる規模拡大が求められる(「グレーター名古屋構想」)。


Q 今後、取り組む道路政策の一層の重点化を図ることが必要であると思いますが、優先度が高い又は低い課題への対応は何であるとお考えですか。
 ・ 東三河地域の重点として、「臨海部の産業道路(港の集積への交通確保)」と「山間部の生活道路」について目標を明確にした施策が必要。

 ・ 三河港臨海部の国際的産業集積維持が重要。特に東海南海地震を想定した際、三河港埋め立て地のみでも就業者2万5千人への対応が必要であり、企業が参画する防災協働の道づくりが求められる。

 ・ 山間部では、限界集落の問題もあり、林業や観光等を活用した拠点集落づくりが必要となる。

 ・ 東三河地域は豊川を軸とした循環型生活構造であり、下流部の産業発展維持は上流部の生活にも影響を与えるため、東三河流域圏(豊川流域一体化)の形成が重要である。

 ・ 基幹道路における物流用駐車スペースが必要であり、道の駅であれば目的別(性格別)施策が求められる。(例えば、中山間地は観光やゆとりの道の駅、都市部は産業物流の道の駅等、性格別のネットワークが必要。)

 ・ 浜松西岸地域の面的活用も含め、豊橋・浜松間のポテンシャルは全国的に高く、豊橋・浜松都市圏の形成が必要。 (都市間距離が30kmと近接、国際港湾を持つ豊橋と貿易港の無い浜松市とが連携することによる相乗効果。道州制ともマッチする。)

 ・ 三遠南信新トライアングル経済圏の形成が必要。 (浜松市リーダーシップのもと、3県境地域の潜在ポテンシャル(浜松:高度テクノ、豊橋:国際貿易港、南信州:精密機械)を最大限に発揮。)三遠南信の工業生産力は、県レベルで全国第6位となる。

 ・ ものづくり地域の体系化(ものづくり基盤の整備)と一体化(下流経済の安定化と上流の雇用バランス等)を考慮する必要がある。