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氏 名所 属
川本 義海 福井大学大学院 准教授

■ご意見の内容

○これまでの道路政策に関して、特にどのような改善点があるとお考えですか?
●車中心の政策である。日常でも身近な道路の空間の使い方やあり方を考える時に、都市内の自転車と歩行者を重点的に考えたような施策が特に必要だと思う。
●車と自転車と歩行者の関係だが、階層として別れて整備されているが、例えばバイパスと生活道路の交通機能が実態として、機能特化が曖昧である。広域農道も実態は幹線道路と使われている。
●過去に決定された未着手事業については、現状に合わなくなって行き詰まっている状態のものがある。10年先20年先の地域づくりに何がいちばんベストなのかということを踏まえて、事業を変えていける柔軟さが必要なのではないか。決まったからとか予算の縛りでズルズルといく、止まってしまうのは良くない。

○今後、道路政策においては、無駄を排するなど効率化を徹底する必要があると思いますが、特にどのような点を重視すべきとお考えですか。
●マネジメントで出来ることにも限度がある。いくら効率よくとはいっても基本としてハード整備で持っていかなければいけない部分はある。マネジメントで対応できる部分の整理を付けることも必要。

○道路に関して無駄と感じることはありますか。具体的にお教えください。
●無駄は基本的にないが、4車線で用地を確保しているが交通量が伸びなくて進まない箇所。大きな交差点では、空間が無駄に取られていると感じる箇所がある。

○今後、取り組む道路政策の一層の重点化を図ることが必要であると思いますが、優先度が高い又は低い課題への対応は何であるとお考えですか?
●歩行者などの居住エリアについてどうするか重点的に考える。
●鉄道、バスなど公共交通とどう結びつけてやるのか、連携に取り組んで行かなければならない。
●街中の質的なものを高める時に空間をうまく使おうとしたときに、電線の地中化は必須である。同じ空間でも使える部分が違ってくる。最重点で考えるべき。電柱も無くなりバリアフリーにもなる。
●情報公開の中で、情報を出すのも大事だが情報の透明性の理解。見てくれる人、意見を言う人は限られている。こちらが出したい情報を出すのではなく、どういった情報を求めているかということに立ち返って検討する。出したいものと聞きたいもののすれ違いがあると効果が現れない。いらない情報ならなぜいらないのかというのを考えていかないと、「真に必要な」の意味がわからないということにつながってくる。感じてないから必要ではないと言うことではなくて、当たり前にあり空気のような存在なら特に必要とはあえて言わない。
●特に朝夕の渋滞発生ポイントを徹底的に考えていくべきではないか。都市部だけの問題と言われがちだが地方は地方なりに渋滞している。8号と416号は普通は立体交差してもおかしくないところが、そのままになっていてまだこれから交通量が増えようとしている。

○国民の皆さまに対し、幅広くご意見を頂くこととしておりますが、特に留意すべき点などがあればお教え下さい。
●問題指摘は投げかけて意見を聞こうとしているが、良いところ・伸ばしていくところも積極的に投げかけて聞いていく。効果や成果があったから、もっと進めて欲しいという逆の視点からの道路の整備も重要。

○その他、道路政策全般に関して、ご意見、ご要望等があればお聞かせ下さい。
●身近な道路は、地域の人が維持管理に関われるような作り方が望ましい。作る段階のところから使い勝手の良い住民によるメンテナンスのしやすい構造を考えれば、お金もかけずに住民が持続的にできるのではないか。
●1世代2世代あとに必要なものを打ち出していく。そういう姿勢は大事。今の住民にうまく伝わっていない。
●道路政策は、最初から結論ありきの面もあるのではないかと多少気になる。有識者はもちろん、道路現場で携わっている方の意見を積極的に集める方策はないか。利用者ばかりに聞いているが、作る人、計画する人、使う人、管理する人へのアンケートもポイントになるし、それが総合的な道づくりになる。作る側からは使う側の意見を聞くが、使っている側は作る側がどういう風に考えているか逆に知りたいのではないか。