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氏 名所 属
金本 良嗣 東京大学大学院 経済学研究科・公共政策大学院 教授

■ご意見の内容

○ 道路整備にあたって、整備箇所がばらばらでまばらになっており、なぜか一部だけ後回しになっている箇所や、一部分だけ4車線になっていない箇所などがある。

○ 工事期間が長く、10年もかかっても終わらない事業がたくさんある。

○ 道路工事にあたって、交通管理者とうまく調整できていないのではないか。工事中の通行規制をうまく調整すれば、工事期間中の渋滞を減少させることができると思われる。例えば、五叉路で非常に混んでいた箇所が、一部閉鎖したことで流れるようになったところがある。

○ 道路工事のスケジュールがどうなっているのかネットでも分からないし、どこに聞いてよいのかも分からない。道路工事の計画内容が利用者に周知できていないのではないか。現在、全体スケジュールのどの段階にあって、1年後にはどこまで出来るのかがわからない。市町村あたりで住民向けに出すのがよいと思われる。

○ 現在の道路制度は基本的に「作る制度」になっている。道路サービスを提供する、すなわち道路利用者にとって最もいい形で道路を作っていくための組織になっていない。道路サービス提供に責任をもつ組織とする必要がある。新たなストックを作る際にも、道路利用の状況を詳細に把握することと道路利用者の意見の把握が必要であり、現場に優秀な人間が必要。

○ B/Cの計算方法について、日平均の交通量で計算すると、渋滞している箇所とそうでない箇所の差がつかない。時間帯別の交通量を用いた計算が必要。

○ 便益計算の時間価値が高すぎる。ただ、日平均交通量をとっているために混雑路線では便益が低めに計算されており、トータルではそれほど過大推計にはなっていないかもしれない。時間帯別交通量を用いれば、渋滞のピーク時は便益が大きくなるはずで、混雑路線については便益が高くなる。空いている路線は便益が落ちることになるので、そういった路線についてはコストダウンしないと社会的にペイしなくなる。

○ 橋梁やトンネルが多いので、欧米に比べて道路事業のコストが高いと言われているが、その分交通量がないとペイしないということになる。また、コストが高いのであれば、その分少なく作らないといけない。また、道路の規格について、最近緩和しているようだが、高すぎるのではないか。

○ 長期的に維持管理が大丈夫か懸念がある。道路を作るときにどれだけ計算に入っているのか。また工事費ももっと安くなるのではないか。安くする方策を考える必要がある。