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氏 名所 属
加藤 博和 名古屋大学大学院 環境学研究科 准教授

■ご意見の内容

1.高速道路の旅行速度は高いが、高速道路を降りてから目的地まで、国道・県道などで時間を費やしている現状。取り付け道路が未整備のバイパスが部分的に整備されているなど、整備区間と未整備区間がパッチワークのようになっており、連続的に整備されていない。真に大事なところに重点投資されているのか疑問。

2.公共交通と道路整備が切り離されて考えられている。鉄道が廃止になりバスに切り替わった際、必要な場所に停留所が設置できず利便性が悪くなり、結果として自動車交通の渋滞が増えた。公共交通は、公共の意味合いがますます強くなってきている。現状は公共交通が後付けになっているが、本来、都市計画と公共交通と道路整備は一体となって考えていくべき。

3.道路が整備されたら商業施設等ができ、その施設の発着交通量は道路の容量を超過。このため、地域の方々が施設に向かうと渋滞する。そもそもこのような施設立地をさせてしまう都市計画がおかしい。また、地域の方々は渋滞によって時間を無駄にしていることを考えると、せっかく道路を造ってもそれによって果たしてみんなが幸せの方向に進んでいるのかと疑問を感じる。

4.造りやすいところを造っている感がある。道路整備の有無によって道路サービスの格差を生じさせ、地域間がパッチワークのような整備状態になっている。連続的な道路整備が行われないことによって、整備をしてもサービス向上が実感できないような現状を招いている。

5.病院等公共施設のない地域においては、安心して暮らせるか、生きていけるかという点で道路整備は非常に重要であり、またそれが遅れていることをいつも実感している。道路整備の重点化の指標として、渋滞緩和効果といった1次的な指標に加え、地域の活力や安心安全、クオリティオブライフへの寄与度を表す2次的な指標も必要。

6.国道では両側歩道が整備されているが、地方部では路肩の確保、また片側歩道の設置でも十分な区間があるのではないか。歩道があってもだれも通行せず土砂やゴミが散乱しているようではもったいない。一方で、都市部ではバイパス整備により現道交通の転換を図る場合、現道空間を再構築しコミュニティ道路といった歩行者にやさしい道路とするなどの取り組みが必要。
  
7.都市計画や公共交通計画との整合を図りながら道路整備を行っていくべきであり、道路特定財源の必要性についても、このような視点を重視しつつ説明していくべきではないか。