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氏 名所 属
神谷 眞弓子 東海女子短期大学 学長

■ご意見の内容

1) 岐阜県では、道路整備の施策が多岐に亘り大変。特に中長期的に見れば人口が減少し経済成長は鈍っていく。その現実を踏まえた構想と施策が必要と考える。

2) 岐阜県としては、幹線道路、産業に必要な道路、生活の道路と、道路の活用を分け、それぞれに優先度の高い道路から整備する方針をたてており、それは良い施策と考える。整備に際しては以下の点を大切にすべきと考える。
@ 渋滞の緩和に重点を置く。時間帯や場所で交通状況に著しい差がある状況で、生活や経済活動に大きな負担となっている。
A 工業、農業、林業の産地と居住地(商業地)を効率よく結ぶ拠点ワーク化を計画して整備を進めてほしい。距離や渋滞状況を踏まえた実質的な到達時間を短縮できるようにして、産地と消費地が円滑に交流でき、例えば安全な野菜作りが消費者の目で直接見えるなどのような道路整備が必要。
B 生活、文化や町の特徴が生きるような、道路や歩道の整備が大切。電線を地中化するなど、また例えば岐阜市は歴史と文化の町として、自転車で安心して行き来できるような安らぎのある道の整備を進めてほしい。

3) 基本的な理念として、交通手段として道路を中心として行くのか、公共交通機関で行くのかを明確にすべき。岐阜は道路で行くと言うのであれば、例えば駅前や商店街の駐車スペースの快適な利用化や無料化など、車の快適利用ができるよう街の中心部までとことん整備をやるべき。そうしてヒト、モノ、金を集積すべきであろう。現在の車中心の状況下では、構想や施策も中途半端な感じがする。「郊外に駐車して市の中心では公共機関で移動を」といわれても、現実的には便利な車利用は大半の人々の好むところであろう。郊外では鉄道がどんどん廃止され車での移動を余儀なくされているのが現実で、町並みもどんどん画一化し、都市中心地域での消費や憩いなどの魅力は失われ、岐阜市駅前なども名古屋などの大都市への単なるアクセス地点化しているのが現状ではないだろうか。いずれ人口が減少し車も減少するのだから、今のうちからそれを見越して、車社会を選択したならとことんそのように車での移動や駐車が快適な道路や街つくりをやるべきではないか。環境保全と経済成長は対立する目標であるので両立には大変な努力がいる。しかし国際競争の視点からもある程度の経済成長をし続けなければならない。日本は自動車産業、もの作りの国。環境に良いCo2を出さない車など、技術を駆使した製品を作り出し、企業や消費者や行政はこれをもっと購入しどんどん使用する方法も考えていくことが大切である。

4) 日本経済は豊かになり、人々の生活は個性化、多様化している。乗用車も一家に一台の時代ではなくなってきている。この個人主義の流れは止められない。建前では環境保全が大切と言われ、確かにそれは理念として持ち続けることが大切であるが、現実には個々人が車を利用しがちである。それが人々のニーズであれば、それに対応できるような都市整備が必要となる。

5) 将来確実に人口が減り、人々の消費の減少や個性化する可能性があることも考えた上での道づくりが大切。

6) 農業や林業も拠点をつくり、この拠点と居住地や消費地である都市とを結ぶ移動時間のスピード化のための道路つくりをする事に力点を置くべき。網羅的な道路整備ではなく、主要幹線はきちんと整備し、各拠点を結ぶことで、拠点でのヒト、モノ、金の集積が、そこから周囲に影響がひろがるスピルオーバー効果がねらえる。拠点以外の地域の道路建設は現状維持を必要最低限とし、移動はコミュニティバスなどで補うような構想を考えるべき。人口の少ない地域を切り捨てるようだが、経済発展の視点からはやむをえないのではないか。

7) 物流(輸送車、コンビニ、宅配車)等の事業車が多く利用するような道路は、片側1車線ではだめ。高齢者等による低速車が混じると、混雑し経済的な損失も大きい。信号機の設置状況の検討や追い越し車線を設けるなど、交通の内容を考えて道路つくりをすべき。