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氏 名所 属
岸 徳光 室蘭工業大学 建設システム工学科 教授

■ご意見の内容

・高規格幹線道路のネットワークの構築が重要である。北海道は全国に比べて整備が遅れていることから、高規格道路を整備し在来国道や道道とリンクさせることが重要である。これにより、流通網の強化による地域産業の活性化、災害時における道路交通網のリダンダンシー確保にも繋がり、早期に効果が発現できる。

・道路交通網のリダンダンシーの確保によって、国民生活が一層安全・安心なものとなり、人口の大都市集中化を回避し、地方分散型の都市造りが可能となる。また、国防上の観点からも道路整備事業を検討することが重要と考える。特に北海道のような島国の場合には、海岸線に沿ってトンネルが主体の近代的な国道が整備される傾向にあるが、国防上の観点からすると海岸線に沿う国道も整備利用されることが必要であると考える。

・このことにより、国道の補修工事等が効率的にできる可能性も含んでいる。
例:アメリカの高速道路は4車線上下分離構造で建設されていることにより、維持補修の際には、片側の2車線を利用することで全止めせずに改修工事を実施している。

・道路橋を対象に考えると、効率的な維持管理・補修補強法の確立に向けた研究をもっと推進するべきである。また、全国の主要道を対象に、同一波形を用いたタイプU地震に対する耐震設計を実施することに疑問を感じる。国道周辺における活断層の早期特定と地域で想定される地震規模を合理的に設定することが必要ではないか。災害時の復旧性を考慮して維持管理のレベル分けをすべきであり、橋梁の重要度や損傷箇所、損傷レベルに対応して維持補修費を決定するシステムを構築すべきである。

・近年道州制の導入が叫ばれている。道州制が導入されると、地方独自の考えの基に道路等の社会基盤を行うことになるが、現状と同程度の維持管理や新設を遂行されるか疑問である。三桁国道を含む国道全般は、従前通り国が管理し、人々に安全・安心・快適さを、人的にも財源的にも確保するという大前提を明確にする必要が重要である。