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氏 名所 属
北村 隆一 京都大学大学院 工学研究科 教授

■ご意見の内容

○道路政策全般について
・都心部は、公共交通の整備と連動した総合交通体系が必要で、これまでの車優先から歩行者優先の道路に転換させることが必要である。
また、今は立ち消えているが、物流システムを設けることも考えなければならない。

・費用便益は都市部が高く、地方部は便益が低い。便益だけで道路整備を行うと、自動車が最も効率的となる非都市部が切り捨てられる。米国ではアイゼンハウワー大統領の時代に、人口5万人以上の都市の95%を結ぶ高速道路網計画を造り(いわゆる「インターステイト」道路網)、現在は99.9%以上完成している。この時は便益ではなく国は一つという理念で整備している。日本も地域をちゃんとネットワークで結ばないと,国が持つ人的,社会経済的,自然や歴史文化的なリソースを生かしきることが出来ず,国民全体にとって多大な損失となろう。さらに,居住地を問わず住民が様々な選択を採れるよう,交通網は医療・教育と同様、基本的なサービスとして整備すべき。


○今後の道路政策について
・国は、車の量の多い幹線道路の整備を担当してきたが、これからは車の量だけでなく人の量にも着目し、国の道路整備の概念を変え都心の人中心の道路も国が整備することも考えてはどうか。

・電線類地中化など、品格のある道路作りも必要である。都市部では、物流路線を地下化し、生み出された空間を自転車専用道やLRTなどの新しい目線で利用方法を考えるべき。道路に品格をもたせる時代になっていると思う。

・自動車の性能技術やIT技術が発展すると、環境面でも安全面でも歩者道分離の必要がなくなってくる。全く新しい道路のコンセプトが考えられるので、地区によっては、まちづくりにも特定財源を使用しても良いのではないか