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氏 名所 属
小島 光治 U・エンタープライズ(株) 代表取締役

■ご意見の内容

○ これまでの道路政策に関して、特にどのような改善点があるとお考えですか?
国土交通省道路局は、直轄国道を中心に全国にその拠点(事務所・出張所)を置いており、必然的にその戦略が「地域密着」にあります。しかし、本省からの指示(道路政策)権限が強力すぎ、現場での地域とのかかわりが空洞化していることを危惧しています。現場から吸い上げられる多彩な「地域情報」が新しい道路政策を生んでいく双方向的なサイクルが十分に担保されていないことが課題だと考えています。
昔は現場に土木に対する熱意や道路工事への専門的な知識や見識があったという声は、現場で働く人たちからよく聞かれます。もう一度「現場の質的強化」を真剣に考える必要性を強く感じます。

○ 今後、道路政策においては、無駄を排除するなど効率化を徹底する必要があると思いますが、特にどのような点を重視すべきとお考えですか?
現在の入札改革等において、単に「価格」での評価のみならず、技術提案の優劣を評価する「品質」に目が向けられていることは評価できます。しかしながら、評価する側の「専門性」や「基準」が未だ曖昧だという声もあります。特に「積算」分野での建材や工事コストの幅広い知識を強化することが急務だと感じます。
世界に冠たる日本の土木技術を支える多くの「職人」層に、十分な報酬が廻らなくなっている話をよく聞きます。低価格入札への危惧を、こうした土木技術力の維持という視点から論じてほしいと願っています。公正な「積算」力と工事にかかわる技術力を復活させることが、事業の効率化を実現する早道だと考えます。

○ 道路に関して無駄と感じることはありますか。具体的に教えてください。
現在、平成12年より公共事業へのシーリングという名の削減が行われており、道路の維持管理費が4割近く減少していると聞きます。さらに自治体の財政悪化もあり、日常の道路管理が十分でない現況にあります。そのため直轄国道を機軸に、県道、市町村道を併せてエリア別に区画割り当てを行い、エリアとして管理する方が、地域情報の収集という点、防災上の情報共有からも良いと考えます。財政支出上の問題はありますが、国が地域に関わる支援にもなり、効率化の点でも効果は高いと思います。

○ 今後、取り組む道路行政のいっそうの重点化を図ることが必要であると思いますが、優先度が高い又は、低い課題への対応は何であるとお考えですか。
すでに整備されている一般有料道路や高速道路をもっと利用しやすい環境にもっていくべきだと感じます。広島都市圏でいえばクレアラインや市内都市高速の料金を安くするか、無料にすることが優先度が高いと思います。また、高速道路における大型車の料金割引を恒常的に実施し、都市圏の国道2号を走る大型車を高速道路へ誘導する施策も実施すべきだと考えます。

○ 国民のみなさまに対し、幅広くご意見をいただくこととしておりますが、特に留意すべき点などあれば教えてください。
国民から広く意見を聴取することは重要であると考えます。さらに道路事業に関わっている「つくる側」の人達、その道路を最も活用して「業務」にあたっている人達の声を聞くことも道路ニーズと道路政策を考えるうえで貴重だと思います。調査・測量・設計・施工・維持管理にたずさわれる専門家、道路のヘビーユーザーとしては、公共交通事業者、タクシー、トラック運転者、宅配便運転者等の人達です。

○ その他、道路政策全般に関して、ご意見ご要望があればお聞かせください。
現在の財源がシーリングや一般財源化によって、従来可能だったことができなくなってきている点についても国民に周知徹底し、その意味から地域にとって「真に必要な道路」とは何かを考えてもらうべき。「選択と集中」をもっと進め、地域住民の参画できる「しくみ」を制度化することも必要ではないかと思う。各現場が組織の上を見て仕事をするのではなく、目線が地域に向いて地域と住民との「協働」関係で「道づくり」が進められることが求められていると思う。