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氏 名所 属
小出 宣昭 中日新聞社 常務取締役

■ご意見の内容

○今年度予定されている東海北陸自動車道の全線開通は、インパクトがある。

○ヨーロッパは、はるか昔の馬車の時代から石畳の道路があり、モータリゼーションが進んでいる。現在の自動車は、馬車から動力がかわっただけ。日本のモータリゼーションは、昭和30年代から。ヨーロッパと比べ日本の道路は、2000年のタイムラグがある。日本の道路は、まだまだ拡充すべき。

○地域の実情・生活実態にあった、道路が有益。例えば、地方では、2車線の道路は必要ないが、すれ違いができる待避所がある道路があればよいところもある。地方では、まだまだ道路が足りていない。これからの道路整備は、地域にあった道路が整備できるような規制緩和・補助制度等の弾力的な運用を進める必要がある。

○道路政策は、地方のことも考え、都市と地方、バランスよく進めていくべき。

○道路政策の優先順位
 近年、目先の優先順位をあまりにも重視しすぎている。優先順位を考えることは必要だが、現状のニーズに対応するものばかりに目がいっているように感じる。道路は、100年後を見据えた投資。将来を見る目が必要。パリのシャンゼリゼ通りのように、その時代では、過剰な投資でも、将来を見通した投資は日本の道路整備にも必要。将来を見通した道路整備をしなければ、先進国とはいえない。

○少子高齢化は、「量」でとらえる場合がほとんどであるが、「質」の変化である。出生率1.26の中で、今後は、一人っ子と一人っ子が結婚するようになっていく。その子たちには、おじさん・おばさんのような親類ネットワークはない。知識には、「頭で覚える知識」と「体で覚える知識」があり、今までは、「体で覚える知識」は、親類ネットワークを通し覚えてきた。体で覚えた知識は忘れない。親類ネットワークがなくなるということは、劇的な変化。今までの親類ネットワークの役割を今後担うのは、地域社会・コミュニティになっていくのではないか。今までは、道路により地域が分断されることもあったが、地域社会をつくる・コミュニティを再生するような道路をつくることを考えていくべき。かつての人と人をつなぐ「みち」の概念が大事。道路は敵ではない。子供が気楽に利用できるような道路にする必要がある。

○「日本の道路は、まだまだ一流国ではない」という認識を持った方がよい。日本の道路整備は、まだまだ遅れている。G7 (日本・アメリカ・イギリス・イタリア・カナダ・ドイツ・フランスの7つの先進国)の国の中でも、高速道路が有料の国は、ほとんどない。その差は、道路の歴史の差。日本では「道路はもういらない」という意見もあるが、「日本の道路は、まだまだ一流国ではない」ということを認識してもらうことが必要。その上で、国民のコンセンサスを得ていくようにしていかなければならない。