閉じる
氏 名所 属
桑田 政美 京都嵯峨芸術大学 芸術学部 観光デザイン学科 教授

■ご意見の内容

・ 新道路の建設や延長など『量』の拡大より、構造物の耐震性確保や災害時の代替路整備、いわゆる魔のカーブの解消、渋滞状況の改善、公共交通機関の利用促進など、安心、快適といった『質』の確保に軸足を移していくことが重要〜「つくる」から「快適に使う」へ。

・ 道路の機能面においても、『流通動脈』としての道路から、『感幸動脈』づくりへの転換が重要。感幸動脈とは、皆が幸せを感じられる道路を意味し、観光での利用や単なるバリアフリーの実現等にとどまらず、その上の概念として捉えている。なお、周知の観点からコンセプトの名称は大切。

・ 「歩いて楽しい道づくり」も大切。道路を通行するのは車だけではない。

・ アカウンタビリティを高めることが必要。「効率化の徹底」といっても、具体的な事業において何がどうなっているのか一般の方々には伝わっていない。こうした状況が「全て公共事業は悪」という誤解につながっているのではないか。シンポジウムや住民との対話集会等についても、若い学生や小中学生を対象にしたものを開催するなど、工夫すべき。

・ 標識等のデザインがバラバラであることは今後の改善点である。当該地区だけ、事務所単位、といった個別対応ではない総合的なデザイン戦略を構築する必要がある。

・ 一般の方々に、道路への愛着をもっていただくためのきっかけづくりとして、道路を介した楽しいイベントを実施していくことも必要である。道路の開通前に実施されるウォーキングイベント等にとどまらず、日本たばこ産業鰍ェ実施しているキャンペーンイベント「ひろえば街が好きになる運動」などを参考事例としてはどうか。これは、日本たばこ産業鰍ェ軍手やゴミ袋を提供し、住民、NPO、学校など一般の方々が清掃活動を行うイベントで、参加者の多くが「楽しい」「有意義」「これからは捨てない」と答えているなど、拾うという体験を通じて捨てない気持ちを育てることにつながっており、企業と市民や地域との共感醸成型の新しいタイプの社会貢献活動を実現しているものである。

・ 道の駅については、数が増えたこともあり、画一的な側面が見受けられるようになったと感じている。地元の熱意が感じられるところでは、今なお楽しい道の駅であり、画一的にならない方策づくりが必要。最近では、地域ツーリズム(着地型観光)が脚光を集めており、その情報拠点として、道の駅の活用に期待しているところ。

・ 道路景観パトロールやオンブズマンの活動などは、地域ごとの活動から全国的な情報共有ができる活動に展開できれば、よりよいものになると考えている。