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氏 名所 属
窪田 陽一 埼玉大学大学院 理工学研究科 教授

■ご意見の内容

@財源については現在の道路特定財源しかないと考える必要はない。バイパスの沿道のアクセス道を大型車で利用する企業が自己負担したり、ショッピングモール等付近の道路をその経営会社が負担したり、民間の資金を導入してもいいのではないか。交通に大きな影響を与えるのであるからある程度の追加負担はあってもよいのではないか。

A無電柱化をする場合も道路内である必要はなく、駐車場や民地境界に埋設施設をつくってもいいのではないか。道路との境界付近の沿道部分を有効利用すべき。

B市街地の歩道の照明については、人が来たときだけ照明がつくようなものにしてはどうか。あるいは沿道の店の光でもよい場合もある。自動販売機があるところには照明を設置しないということも考えられる。欧州では既に導入されている。

C幹線道路の整備は進んでいるが生活道路が置き去りになっているのに加え、安全対策が遅れている。歩行者注意という表示があると歩行者は「人が優先」という意識が働いて車に注意を払おうとしないことがあるため、非常に危険である。道路利用者の意識改善プログラムが必要。

D道路を作る段階でその道路を使う人がどういう使い方をしたいのか問うことも必要なのではないか。

E地方の道路整備は交通路に魅力が無いと進まない。日本の道路はどこに行っても同じでどこにいるのかわからないような景観になっている。

F日本では道路の機能区分ができていない。外国には地域計画に合わせ、目的とする道路(産業なのか観光なのか)を作って、そこには特定の車しか通さない考え方もあり、公園と道路を一体的に整備している例もある。過疎地域にあっては、そこへ行くための魅力的な沿道整備が必要で、そうでないとそこまで行こうという気にならない。また、日本のSAでは地元の特産品が売られており、地域の中にまで入り込んで行く必要がないことも既成市街地衰退の要因のひとつである。また、外国の都市部では表通りには電柱を無くし、裏通りに上空を覆うぐらいにまで電線を通すなど、道路間の性格わけを徹底して、表通りを利用する一般の人には電線類が見えないようにすることで、景観が保たれている都市も少なくない。

Gほかの公共施設との連動ができていない。河川敷に建設している防災船着場に行こうとしても国道にサイン(標識)がないのでいけないところがある。これでは災害時に利用することが不可能ではないか。

H日本はもう用地がないので、これからは今ある空間にどうはめ込むかということが重要である。道路事業は外から見えるところだけではない。道路の立体利用も必要。道路の地下空間が今後はますます重要となってくる。それに伴う技術や技術者の水準も求められる時代となる。