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氏 名所 属
栗谷川 裕造 日本大学 生産工学部土木工学科 教授

■ご意見の内容

  平成18年12月に閣議決定された、道路特定財源の見直しに示されている内容は世界に負けない競争力、成長力の確保、地域の活性化のための道路整備を進めるとなっております。主な課題は以下に示す内容と理解する。

1.社会ニーズに沿った整備事業のプライオリティーと事業の効率化(必要な整備のランク付けと効率化)
 ・都市部における慢性的な渋滞の解消として交通ネットワークの早急な整備(三環九放射線の整備、立体交差の整備)と併せて防災対策(ライフラインの地中化、自転車道を考慮した歩道の拡幅)

 ・地方部においては交通ネットワークの整備(企業の誘致(インターチェンジの整備)、高度医療関係への搬送時間短縮

 ・道路ストックの維持管理技術とコスト(道路維持技術時の長寿命化、工事費用の縮減技術の研究)

 ・公共交通システムの利便性の向上(パーソントリップの精査と公共交通機関の路線の規制強化による定時運行)等々ある。
これらの整備に関する課題の抽出(社会ニーズの整理と緊急課題)と専門委員会の設置と実行に至るプロセスの短縮、各整備事業に対するマニフェスト(数値目標と達成実績の情報公開)の作成。現在もこのようなことは行われているが専門的な表現となっており、一般の人達は興味が持てない(理解されない)。

 ・整備に当たっての計画・設計(IN PUT) →完了(現在はOUT PUT)ですがこの整備による種々の波及効果(OUT COMES)までをも理解されやすい情報公開。


2.顕在化している環境問題を考慮した道路整備
 ・道路整備事業と環境に関係する相互関連の理解を図る。例えば大気汚染(渋滞によるエネルギーの損失と排出ガスの増加、経済損失)、地球温暖化(CO2の排出)、省資源(リサイクル資源の活用)、整備事業と景観(資源(リサイクル材)の有効利用による景観の保全

 ・道路整備事業と前述の環境との関係を誰もが理解できるような情報を公開。(前述の効果とリスクに関して整備前後について精査して数値で表現し理解して貰う)


3.道路整備予算の見直しと納税者に対する理解
 ・道路整備の必要性を広く社会に理解して貰う事が必須である。しかし、現時点での社会の視点は建設関係イコール悪いイメージで「談合」、「利益主義」、「無駄遣い」、「公共倫理の欠如」、「天下り構造」、等々の悪いイメージがある。
これは企業倫理、技術者倫理を持たない一部の企業、人間が犯した事であるがこの悪いイメージを払拭しなければならない。そのためには@、A、Bに共通して整備による「リスクと効果」を分かりやすい表現で、広く社会にアピールすることが必要と考えます。
今までのような待ち受ける情報発信ではなく、アクティブに役所から飛び出して理解を求め、広く社会のニーズを収集することで道路整備の必要性が理解され、納税者の理解が得られ、必要な予算の確保が図られると考えます。