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氏 名所 属
真栄里 泰山 NPO沖縄なんぶガイドネット 会長

■ご意見の内容

1.これまでの道路政策に関する改善点について
@豊かな生活環境の創造
・地域独特の歴史的雰囲気、個性あふれる景観や自然を重視した高質な道路整備
・生活環境や自然環境と調和する道路空間のデザイン工夫
・生活環境の改善、緑化空間の拡充、CО2対策、騒音対策の拡充
※観光立県を目指す沖縄においては、日本の亜熱帯地域として、その特性を生かす景観を創出する道路の整備方策があってもいいのではないか。世界遺産にかかわるスーニックバイウェイ事業など、内外からの旅行者に魅力ある道路景観を創造する道路整備が緊急だと思うが、同時に、歴史的雰囲気を感じさせる石畳や中小のぐすく群が沖縄本中南部地域だけでも200以上も残る沖縄では、その思い切った活用が大事だと思う、そのためのアクセス道路や案内表示、駐車スペースの確保、快適のトイレなど、サービス施設の整備をはじめ快適性を保持する維持管理が必要だと考える。また、沖縄の道路は緑化が決定的に不足している。シンガポールは狭い都市国家ながら都市の交通空間は広く、徹底的な緑化で快適な都市空間を形成している。また、成長速度が速い沖縄でも、米軍基地は適切に管理されているのを見るにつけ、景観管理行政の貧困を感じるが、道路優先のため多くの緑が次々と失われているのは残念なことである。特に、沖縄では国道はかなりの努力が行われていると感じているが、県や市町村道では無自覚であるように感じる。その原因には、市町村道路財源の貧困がある。そのためには、沖縄は陸上交通が隔絶限定されるという、唯一の離島県である特性を生かして、全国一律の道路整備のあり方とは違う方策が可能となる地域である。そのため、全国に先駆けてモデル地域となるような、沖縄亜熱帯地域道路景観デザイン特区といった独特な特別制度や地方道路への財政支援制度があってもいいのではないかと考える。

A大都市、地方都市並びにその周辺における交通渋滞の解消
・米軍基地による沖縄の東西の道路網の寸断状況の解消
・都市モノレールの南部環状線延長や中部延長
※ モータリゼーションの進展はとどまることなく、近年は、大都市あるいは地方都市、その周辺において、特に沖縄においては那覇市を中心とする交通渋滞が一段と目立つようになっている、そのためバイパスとして自動車が生活道路に入り込むなど交通安全や生活環境の悪化が見られる。こうした事態の改善は緊急であるだけでなく、今後の高齢社会、健康社会には、歩きやすい道路、歩いて楽しい道路、ヒューマンスケールの快適な道路の充実がますます要請されている。特に、道路の緑化空間の拡充、歴史的雰囲気や景観が感じられる道路への愛着心が高まっており、生活の中で道路環境の改善が実感できるよう身近なところでの改善が必要だと思う。
※ 特に、中心市街地などでの交通方法や交通手段などの多様化が進んでいる。那覇市のトランジットマイル事業のような、自動車交通を規制して自動車中心道路整備からの転換を支援する道路行政が必要だと考える。そして、観光にも貢献する多用な交通手段のあり方など、既成の交通手段や方法にとらわれない発想など検討していくべきだと思う。

B幹線道路網の整備と並行する市町村道路の整備拡充の促進
・道路財源の地方への支援制度の充実
※ 国道に比較して、県道、市町村道の整備は、何年も放って置かれている箇所が多く整備の遅れが目立ち、快適な都市の生活環境への支障となっているだけでなく、これまで整備されてきた県道や市町村道の質も貧弱である。沖縄では、道路空間が狭く、排水溝を歩行道路としているところが多く見られ、電柱などがかろうじて歩行者の安全を守っている光景もあり、その改善は急務である。また、市町村道は、維持管理も不徹底なものが多く見られる。そのため、台風などで失われて街路樹の再生もなく、雑草が繁茂する例も多く見られる。管理については住民との協働体制も模索されているが限界がある。それは整備や維持管理についての財政支援制度が不十分なところに原因がある。そのため、市町村道路整備を重視する国全体の整備目標を明確にするとともに、そのため、市町村道整備特別計画、財源支援制度の強化拡充など、制度の見直し新設や財政支援措置が必要である。


2.今後の道路政策において、効率性の徹底が必要な点について
@道路工事の期間中の営業補償など、中小商業者には厳しい面も見受けられる。これまでは公共事業ということで、大目に見られてきた面があるが、これからは行政の不作為責任など補償問題に発展する可能性も大きくなる。その点で、今後は事業者には工事のスケジュール管理など、関連工事との連携や効率的執行などの努力が必要となる。そのためには、道路計画、事業計画などの情報公開も丁寧さや細やかさが求められる。事業の進捗状況、交通規制などのホームページでの公開など工夫すべきだと思う。

A年末や年度末に工事が集中するなど、地域の商業経営や生活実態とそぐわない工事を見かけるが、工事予算の事業認可、入札など、工事関連単年度予算制度の継続費のあり方や発注スケジュールの改善が必要だと感じることがある。道路工事の管理の手法も、緊急事業はともかく、ガス、上下水道関係事業者間で関連工事を、年次的に協同管理で行う方法の指導があっていいと思う。

Bなお、予算の効率追求の観点から、全国規模での一般競争入札制度が指導されているが、私は、災害時の対策など、地域の事業者の技術や工事情報保全、地域事業者の経営や生活、地域経済への貢献を考慮して、地域事業者を優先をすべきだと思う。基幹幹線道路工事などは別として、地方の道路工事の入札などでは画一的な全国入札などはかえって非効率で、形式的であって、むしろ改善べきであると考える。


3.道路に関して無駄と感じる点について
沖縄の道路の整備はまだまだ遅れており、むしろ充実強化が求められていると考えているので、あまり無駄を感じてない。ただ、沖縄自動車道の料金は、北部振興との関係ではもっと安くすべきで、米軍車両の無料化、軍人軍属車両の軽減措置など、見直すべきだと思っている。
  

4.今後の道路政策の一層の重点化を図るうえで、優先度が高い、または低い施策について
@観光に特化した、歴史や地域の風土を感じさせる個性ある道路景観の創出

A景観スポットにおける駐車場やトイレ、水などのサービス機能の確保
※特に、南部においては、県の公園などのトイレの老朽化や管理体制はひどいものがあり、早急な水洗化や座型便器への転換、管理体制のあり方が課題となっている。

B沖縄では、スマートICの導入などは、あまり効果があがらない事業だと思う。

C那覇空港へのアクセス道路など、高架道路の整備があったが、地方都市では真にやむを得ない場所での高架化はともかく、地域活性化の観点からは道路への親しみを失わせる結果になっているので、できるだけ高架道路に整備は地方では避けるべきだと感じる。


5.国民へ幅広く意見をいただくことに対する留意点について
意見集約も必要だが、実際の整備事業における、地域の住民代表や市町村などが参画できるようなデザイン会議などを新設すべきではないか。特に、交通安全方策、緑化の樹木の選定、緑化の数量、歴史環境への配慮など、意見を聞く機会を作るべきである。情報公開や住民参加がいわれて久しいが、現在はなお公共事業者主導、関係業界優先で地域住民には事後的に説明会が開かれるだけで、道路への意見反映がしにくいシステムになっている。道路行政は利害が錯綜するリスクを回避するためそうしたシステムをとってないように考えるが、道路は地域づくりの最大関心であり、地域のつながりを高めることで、道路整備への関心を高めることが大事だと思う、裁判員制度も始まるが、道路行政においてもそうした積極的な姿勢が必要だと考える。それがまたリスクを回避する保証になるのではないか。


6.その他、道路政策全般に関する意見、要望について
道路開通は、地域発展に貢献する重要事業であり、地域にとっては大きな喜びであるが、それが関係業界主導の印象を与え、本来の目的を削ぐ結果になっているのは実に不本意なことであった。そうした誤解は早急に解消しなければならないと思う。また、これまで効率性や機能を優先したため、道路整備の後の自然を切り取った道路壁面、海岸の消波ブロックなどの景観はいかにも傷口といった感がする。那覇の新都心牧志線などはそのシンボリックな形で、地域活性化や道路景観を著しく阻害している。さまざまな擁壁、海岸防護の工法は土木技術の粋だとは思うが、自然の景勝地や街中、観光地などでは、景観と自然景観とマッチしないところが見受けられるが、その回復・改善は、道路行政の新しい課題だと考える。ついては、こうした箇所については、既成工事箇所、今後の計画事業などで見直し点検を行い、再生整備計画などを政策化や制度化し、景観復元や保全、砂浜や親水空間整備、街中道路の美化再生など、わが国の美しい自然景観を保護しているとの姿勢を国民にも国際的にもアピールすることが必要だと思う。