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氏 名所 属
牧田 令子 芦原温泉旅館業協同組合 女将の会 会長

■ご意見の内容

以下の意見については、観光関連産業の一員としての意見です。
○これまでの道路政策に関して、特にどのような改善点があるとお考えですか。

 ・観光素材の掘り起こしと観光地を意識したルートの確立
 ・各管轄の連携による観光客に優しい道路標識・案内の統一・整備
 ・「観光立国」に向けた国から県・市・町への指導と各管轄での連携
 ・意見を吸い上げる機関、各機関への指導の徹底
 ・身近な事から物事を進める大局的な事業推進

○今後、道路政策においては、無駄を排するなど効率化を徹底する必要があると思いますが、特にどのような点を重視すべきとお考えですか。

 ・各管轄の連携による事業の効率化。特に観光地の案内や観光ルートの確立

○今後取り組む道路政策の一層の重点化を図ることが必要であると思いますが、優先度が高い又は低い課題への対応は何であるとお考えですか?

 ・観光客に配慮した道路交通政策。特に観光地をカバーするバス路線の本数確保や観光案内の統一化・整備、観光素材を意識したルートの設定による地域振興。

○国民の皆様に対し、幅広くご意見を頂くこととしておりますが、特に留意すべき点などがあればお教えください。

 ・意見を吸い上げる機関と迅速な指導による各管轄の連携による事業の推進。
 ・福井県をあげての来県者に対する「ようこそ」という気持ちを打ち出せる様な観光ルート設定、案内標識・看板設置等に関する各管理者の連携。

○その他、道路政策全般に関して、ご意見、ご要望があればお聞かせください。

 ・旅館の女将として『福井県へ観光に来られるお客さまに楽しんでいただきたい』と言う事で、各管轄の積極的な連携による身近な観光案内看板・標識の統一と早期整備や、各観光素材を活かした観光ルートの策定などをご要望します。

【議事録】

 観光関連産業の観点でお話しします。
 先日、女将の会で永平寺の監院さんのところへ陳情に行かせていただきましたが、石川県の方へ便利な道路(R364)が出来て、永平寺から山中温泉への所要時間は30分で行ける事となりました。永平寺から芦原温泉への所要時間は40分です。そうすると山中温泉からの攻勢があって、お客さんがどんどん山中温泉・石川県に行かれています。しかし、石川県から来ていただいているお客さんはおりません。行くばっかりでお返しは全くない様な状況なんです。
 そこで監院さんともお話しをさせていただき、「面白くないな・・・」と言うお話しがありましたが、芦原温泉も一生懸命やっていると言うことをお話ししました。
 また、福井県の方ともお話しする機会もあったのでお話しましたが、立地的に『永平寺』があり、『芦原温泉』があり、『東尋坊』があって、仮にこの3箇所が観光ルートとなったとして、実際に初めて福井においでになったお客さまが『永平寺』から『東尋坊』へ、逆に『東尋坊』から『永平寺』にマイカーで行こうとすると、ものすごくルートがわかりづらいんです。「永平寺街道があって・・・」などと、我々は地元の者なのでお話し出来ますが、実際に永平寺街道に入るまでがわかりづらいんです。『東尋坊』から永平寺街道に行くルートもわかりづらい。一体、この様なたんぼ道をお客さまが通って大丈夫なのか?民家と民家の間を走ったりするので、大丈夫なのかと思います。

 永平寺や勝山方面へ行く道は何本もありますが、廻って行く道もあれば、昔からの道もあります。色々な道はあるけれどもわかりづらいんです。メインの道路が無いという事です。生活道路はあるのですが・・・。また、観光ルートとしてはどの道路も失格だと常々思っています。

 観光面で全般的な事を言いますと、北陸自動車道の金津ICを降りてから芦原温泉に来るまでの間もお客さまは非常に不安になると思います。道路が非常に暗いんです。所々に芦原温泉○○kmと看板は立っていますが、他県ではどうなっているかと言えば、『ようこそ!○○へ』など、観光客をワクワクさせて、近くに来たんだと感じてもらえる看板が立っていて、間違いなく「この道」だとわかってもらえて、道路自体に表情があると思います。しかし、福井県の道路は全く無味乾燥で不安感があります。どういった統計を取ったかわかりませんが、色々な案内が無いということで、福井県は県外から来ていただいたお客さまに日本一不親切な県だという結果があるそうです。我々もしょっちゅうお客さまから観光地への道路はわかりづらいと言われています。知事さんや市長さんにも観光地への案内がわかりづらいとお話ししておりまして、「石川県の状況を見てきて下さい」と言わせていただいた事もあります。芦原温泉が単独で出している案内看板はありますが、市として観光地を案内する様な看板・標識は全く無い状況です。その様な看板・標識を立てる程度は知れています。お客さまも芦原温泉に来られて、旅館を探すのに30分迷ったなどという事もありまして、グルグルお探しになって、お怒りになって旅館にお入りになって来られます。温泉の宣伝力が弱い事もあるのかもしれませんが、やはり芦原に入ってからそんなに迷ったという事は、入る前からカリカリされておられると思うんです。ですから、我々はどうするかと言えば、お迷いになったお客さまから電話があると、「そこで待っていて下さい。」とお願いしてお迎えに行かせていただいています。電話でご説明してもわかっていただけませんから。こんな方法をとっていますが、これは非常手段ですから、もっと観光客に「ようこそ」という気持ちが伝わる様なわかりやすく観光地を案内する施策をとっていただきたいと思います。バイパスや道路を整備する事は予算がかかりますが、看板・標識であれば予算はかからないと思います。しかし、その様なお話しをさせていただくと「それは県の話だ。国の話だ。市の話だ。」と言われて全くまとまらないんです。こういった事は個々の意見を吸い上げて対応出来る様に国からご指導いただき、管轄の違いはあっても連携して改善していただきたいと思います。今まで3年間機会がある度にお話しさせていただいているが、何の進歩もありません。

 先日行かせていただいた陳情は、福井バイパスの整備に関するするものでした。確かに生活道路や災害時に使用する道路としてあれだけ渋滞する様であれば、バイパス整備は住民の一人として必要だと思います。しかし、『観光立県』を福井県として打ち出しているのであれば、いかに観光客が快適に目的地に到着していただいて、次にそこから散策をしていただき、そしてまた来ていただく事が非常に大事な事なんだと思うんです。観光地へのルートがわかりづらいなど福井県は観光面について立ち遅れていると思います。私も色々観光地
を見させていただいていますが、長崎など九州は観光地への道路整備や案内がちゃんとしております。高山などは福井から山を越えて行っても、やはりわかりやすく大きな看板で案内がなされており、うらやましく思っています。福井県に来ると案内看板・標識も無いし、表示内容も福井県として統一したものもない。やはり表示内容をスッキリと統一したものがあれば大変ありがたいと思います。それは個人で出来る事ではありません。我々が出来る事は駅や道路に看板を出したりする事程度です。その程度では『道しるべ』にはなりません。ですから県外から初めて来ていただいたお客さまにいかに親切に目的地に行っていただけるか、観光地へスムーズに移動していただけるかが大切だと思います。

 夏休みに入って、例えば「芝政さん」に行こうとしてもわかりづらいです。「芝政さん」はマイカーでしか行けない場所にあります。夏休み期間中のみ1日3往復便がありますが、他の期間は全く路線バスはありませんし、観光客への配慮が無くて、不親切な状況です。『東尋坊』や『永平寺』周辺ではバスの本数が随分と削減されました。バスがあっても1時間に1本程度では、冬にマイカーでいらっしゃるお客さまが、雪道が危ないからJRで来られる確立が非常に高くなりますので、大変不便になる思います。越前ガニのシーズンで他県からのお客さまが多くなる冬はあまり本数を削減していただきたくありません。何か観光客にとって不親切ではないかと思います。要するに『観光客への配慮』を多額の予算をかけなくても良いので、国から指導していただき、福井県というスペースで嶺北・嶺南を考え、福井県として統一して日本風景街道「越前版」をこしらえていただきたいと思います。

 福井県は縦長の海岸線が多く、上手に案内が出来ればまだまだ観光は伸びると思います。越前海岸では「スイセンドーム」「越前ガニミュージアム」を作っても、シーズンオフにはいかほども観光客は訪れません。ではスイセンやカニの時期でなくとも観光客に楽しんいただこうとしても、お客さまからは、あまり目的地として聞かれる事はありません。だから、もっとわかりやすいカニを意識した「カニカニルート」などの観光素材を意識したネーミングのルートを考えてみてはどうかと思います。売り出せる「素材」は山あり海ありで沢山あります。「素材」は沢山あるのに観光・道路が連携した売り方が下手だと思います。 例えば「趣味街道」で「金津創作の森」に行っていただいたら、次は「越前漆器」や「越前和紙」を意識した街道、また「国宝」や「神社仏閣を意識した街道、冬になれば「グルメ」を意識してルートで観光をしていただくなど、ルートの上にどんどん重ねていっていただいて「○○街道(越前版)」を作っていただき、統一看板を作っていただくと福井県全体が来県者へ「ようこそ!ウエルカム!」という気持ちをもっと打ち出せるのではないかと思います。今はバラバラでやっているので、県が一つになってやっていこうと思うと、国からの指導がないとダメだと思います。それぞれがやっていてはまとまりません。県全体で統一ブランドを打ち出していく事が必要なんだと思います。我々もお客さまにご案内をするのに「こんなルートがあるんですよ」、「お客さまのご希望はどんなものなんですか?」などとお答え出来ます。「どこかいいところはないの?」と言う様な漠然としたお問い合わせにも、東尋坊や永平寺には行ってしまっているので、「では、こんなルートがあるんですよ」とお勧め出来るルートがあると良いと思います。そのためには観光地の案内をちゃんとしていなければいけないと思います。そういう意味で日本風景街道における福井のモデルルート(三国・熊川宿)以外で第二弾のルートを是非お願いしたいと思います。

 これからは「団塊の世代」がドッと出てくるので観光にとってはチャンスなんです。60歳を過ぎた人達は今後の10年を楽しもうと思っています。他の県でも「団塊の世代」を狙っています。そうするといち早く観光を意識したルートを考えるべきだと思います。掘り起こせばいっぱいあると思います。宣伝の載せ方を上手く考えて出来たらと言う意味で案内が出来たら良いと思います。

是非考えていただきたいと思います。お客さまを呼ぶ事が出来れば消費税・入湯税などを落としていっていただけます。そうすれば地域の皆さんも元気になると思います。だからお客さまが迷われて怒ってしまう事が非常に残念なんです。

 我々も会議などで何とかならないかと色んな方にお話ししているが「あれは県やな・あれは市やな」と言って終わってしまいます。回答が遅くて「会議の為の会議」になってしまう様な状況で成果が出ません。先立つものが無いのはわかりますが、知恵を絞ってやっていかないと、前に進まなければ後退するのみです。半歩でも良いので去年より今年が少しでも良くなったものを見たいと思います。そのために『吸い上げる機関』が必要です。市や県がそれぞれやるのではなくて、国なら国がしっかりと意見をとらえ、『観光立国』へ向かって指導をするべきではないでしょうか?意見ばかりで言いっ放しで少しも改善していかないのが現状ではないかと思います。
 ちょっとした事でも一歩進めたい・後に残したいが女性なんです。また、旅館の女将として言えるのは「お客さまに楽しんでいただきたい」と言う事です。出来る事・身近な事から大局的にやっていただきたいと思います。