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氏 名所 属
宮本 明彦 日本経済新聞社 経済部長

■ご意見の内容

[国民アンケートについて]
○ 道路整備の重点項目等について聞けば、住民の立場からは「基本的に全てあった方がいい」という話になるが、これと、財政再建、社会保障、環境等を考慮に入れたオールジャパンの立場からの意見とは往々にして対立する。対立した場合の客観的評価が非常に難しいという印象を持っている。
○ アンケートとして国民の共感を得るのは、例えば、一般歳出40兆円のうちで公共事業関係費(道路歳出)がいくらであれば適当かという資源配分の質問ではないか。

[「真に必要な道路」について]
○ 「真に必要な道路」の定義については、どうしても膨らみがちの印象。道路整備の必要性(経済成長力や国際競争力に与える効果等)と、社会保障や他の社会資本等、他分野への資源配分の必要性(少子高齢化を受けた社会保障コストの増大等)とを透明な形で選択肢として提示し、真の必要性について国民的な議論ができる環境を整えることが理想ではないか。
○ 道路については政治的なパワーゲームの中でのみ意思決定がされる印象が強くあり、世間からそう見られることは、国民的な納得を得る上で、今後の道路政策にとっても不幸せなことと考える。国民が透明で合理的な意思決定を実感できる工夫が何かできれば、道路行政が変わったとの印象を与えられるのではないか。
○ 今後の人口減・人口集中社会の中で、どのように投資の選択と集中を図っていくかについても課題ではないか。道路はどうしても「国土の均衡ある発展」を指向しがちの印象がある。

[道路歳出の使途拡大について]
○ 地下鉄の一部や低公害車対策等、道路歳出を伝統的な道路事業以外に振り向けることについて、建前上は「国民的価値観の変化に弾力的に対応」としつつも、本質的には道路整備以外を特定財源で面倒見ることになる。これは、受益と負担の一致の考え方からは外れていき、結果的に道路局で資源配分の差配をしているという構図が残る。
○ 国民ニーズに合った使途に資金が使われることは是とするが、現在のようなねじれの構造の中で、使途拡大を理由に道路歳出の規模が正当化されるとは思わない。

[継続中の事業の再評価について]
○ 中期計画における事業規模を検討するに際しては、過去に計画され、現時点で計画・施行段階である道路事業について、「在庫の棚卸し」の感覚で、直近のデータに基づいて見直した上で積み上げることが必要ではないか。すなわち、計画立案の根拠となる人口推計や経済指標等の社会経済データにつき、計画時でなく直近のものを採用して見直すことが求められるのではないか。