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氏 名所 属
森 康男 福井工業大学 建設工学科 教授

■ご意見の内容

○ 最近の自然災害や交通事故から見ても、安全性を全面に出して道路政策を進めることが大切だと思います。特に福井県のような地方では自動車への依存度が高く、自動車がなければ生活ができないのが現状です。それにしては道路の安全面への配慮がお粗末だという気がします。例えば埼玉県で脇見により保育園児をひいてしまった交通事故など、もちろん運転者が悪いのですが、あの場所もせめて片側に歩道があり、歩行者が安全に通行できるようなガードレールが備わっておれば防げた事故だとも思います。道路財源が余っていると言うが、こういう事故が多々起きていることから見ても、人命尊重を第一に考えて徹底して歩車分離をはかるような整備すべき箇所は、それこそ無数にあるはずです。
首都高速や阪神高速においては、あれだけ多くの交通量に対して既存ストックがまだまだ不足していると感じます。首都高速道路や東名高速道路などは、交通容量を遙かに超える多くの自動車が狂ったように走っているので、走り慣れていない方は恐ろしくて、安心して走る事は難しいと思います。私は恐らく走ることは出来ないと思います。やはり安全な道路交通を確保することを国の重点的な政策として、安全・安心に生活できるような道路整備に予算を投じなければいけないと思います。

○ 既存ストックの長寿命化については理解できないところがある。というのは維持管理費を3割削減するという話がいきなり出てきて、1年に1割ずつ削減された。私はなぜそんなことが出来るのかと疑問に感じます。高度成長期の時代から造られている多くの道路構造物がきちんと維持管理されて行くのか心配である。予算を削減してコストダウンしていかなければならない必要性はわかりますが、それにはきちんとした科学的な根拠が必要だと思います。維持管理の工事など定期的にきちんと行わなければ、次の段階に来れば致命的なことが起こり得る。もっと現場を見て科学的な根拠で維持管理システムを研究して行わないと結局は将来、莫大なお金がかかる事になると思います。ですから、きちんとした根拠がベースとなって必要な予算が組まれる流れを確立することが重要です。もちろん維持管理の合理化は必要だし、談合等も徹底して無くすようにしなければいけないと思いますが、あまり競争をさせすぎると品質を維持して行くことが困難となることも心配されます。

○ 高速道路で消費する燃料のガソリン税等はきちんと高速道路に還元せれているのか、勉強不足なのかも知れませんが、よく分かりません。要するに我々が車を使うとガソリン税を払いますが、その使途がどうなっているのかよく理解できません。道路特定財源が余っているというならば、税金を少なくして頂きたいと思います。道路予算を長期的にどれだけガソリン税として保持しなければならないかきちんと議論し、公表することが必要だと思います。道路の予算が余っているからといって、一般財源化にするのはおかしいと思います。特定財源の意義をないがしろにして、ひいては国民の税制に対する不信感を増長するようにならないかと危惧します。

○ CO2の排出が少ないハイブリット車など環境に良いのはわかっていますが、高価である。長距離の運転の方は燃費の面で還元できるのでしょうけど、私みたいに年間3〜4千キロしか走らない者にとっては、なかなか手が出ません。環境に寄与したいという気持ちのある人は多いと思います。もう少し道路環境政策の一つとして安価に手に入るようになればいいと思います。

○ 車がなければ生活できない人はたくさんいると思います。しかし、道路については空気と同じで、当たり前に存在していると思われている方がほとんどだと感じます。もっと道路について関心をもって頂くように、道路政策だけではなく、道路技術や交通技術についてもどんどんわかりやすく広報して、一般の方々の理解を深めるようにする事が大切だと思います。すなわち、道路交通に関する「文化」とも言うべきものを確立してゆく必要があると考えます。