閉じる
氏 名所 属
望月 秋利 徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部 教授

■ご意見の内容

○四国横断自動車道の計画では、新直轄の無料区間を南から北に向かって利用した交通が徳島東IC(ここから先が有料)で降り、東環状道路(無料)に乗り換えるなどの使われ方をすることが想定される。これは、道路利用者にとっても無駄な迂回をすることになるし、NEXCO西日本にとっても好ましいことではない。特に、徳島県の地域経済は弱いため、コストに敏感である。利用されるシステムの構築が必要である。特に、長距離移動のトラックに使ってもらえるシステムが必要である。

○徳島平野の道路構造は、吉野川に並行に高速道路、国道、県道が整備されており、東西方向については、ある程度整備されてきている。しかし、吉野川を横断する南北方向については、吉野川がネックとなりまだ不十分である。東環状道路の吉野川渡河橋の建設が進み、四国横断自動車道の渡河橋が計画されているが、どちらも国道11号の補強にしかなっていないように思われ、道路構造の抜本的な解決にはなっていないように思う。国道11号とは独立した軸を新しく作る必要があると思う。

○道路特定財源は、道路整備に使ってもらいたい。一般財源化するのであれば、税率を下げるべきである。公共交通機関に関する対策やソフト施策など道路に関係してやるべきことは多い。

○公共交通機関に関する施策
 徳島の人口集積規模では、軌道による大量輸送機関は維持できない。また、バスについては、定時性、生活に合った利便性が確保できないため、利用者が減少している。利用者が少なくなれば、路線や便数の削減を行なうため、さらに利用者が減る。悪循環に陥っている。
 このため、ブラジルのクリチバ市の公共交通システムのような軌道の定時制とバスの経済性と柔軟性を兼ね備えた公共交通機関の構築が必要だと考える。例えば、牟岐線をバス専用道とすれば、国道55号の渋滞区間については、牟岐線を利用し、定時制が確保できる。また、渋滞区間以外では、牟岐線からそのまま一般道に出ることもできるので、利便性が向上する。さらに、軌道よりも維持コストが低い。牟岐線については、高架化する計画があるが、バス専用道として利用するには、平面のままの方が良い。このように大きな計画に関しては、国が主導的に取り組んでいくべきと考える。

○ソフト施策1
オーソリティシステムを導入すべきである。オーソリティシステムとは、道路の維持管理を地元の活動団体に全面的に任せることである。地元の活動団体は、道路を利用して様々なことができるようになり、地域活性化につながる。また、従来の管理者も仕事量が減る。このシステムを交通量の少ない道路で実験的に実施できないか。

○ソフト施策2
徳島県の住宅街の中の道は幅員が狭い。利便性が多少低下すると感じる住民が多いかもしれないが、一方通行とする道路をもっと増やすべきである。一方通行は、通過交通が入らないので良いし、防災上も優れている。