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氏 名所 属
村上 仁士 徳島大学環境防災研究センター 客員教授

■ご意見の内容

○重点化すべき項目については、全国、四国地方、徳島県などの階層ごとに議論すべきだと考える。また、長期計画があっての中期計画だと考える。

○徳島県は、東南海・南海地震によって甚大な被害が発生することが予想されている。新潟県中越地震の高速道路は、4車線あったために、1日以内に緊急車両の通行が可能となった。2車線しかない道路であれば、不可能だっただろう。徳島県南部では国道55号しかなく、しかも2車線しかないため、リダンダンシーが著しく低い状況にある。
県南部の人口は今後減少することが予想されており、B/Cも低いと思われるが、それだけで道路が要らないと判断できるのか?全国一律の指標で判断することも必要だが、それ以外に四国独自の指標があっても良い。防災、環境など経済指標化しにくい部分が重要だと考える。災害と道路の関係では、愛媛県大洲では水害時に高速道路が大変に役立ったという事例も実際にある。

○山間部では限界集落も多いため、幅員1.5車線を確保しておけば日常利用面では十分かもしれない。しかし、構造線があり脆弱な、雨が降っただけでも崩れてしまう地質条件に道路があることを忘れてはならない。地震力が加わればいたるところで道路が寸断されることが想定される。安全で安心な生活を送ることは国民の権利であるため、人口が少ないからという理由で放置されるべき問題ではない。国土の維持管理からも山間部の道路を維持することが重要である。

○目標を掲げて、事業を実施していくのは、良い政策である。目標を達成できなかった場合に、その理由を分析することの方が重要である。

○高速道路の料金が高く、さらに徳島道では暫定2車であるため、多くのトラックが一般道を利用する問題が発生している。料金が高く暫定2車だから通行しない、通行量が少ないから4車化しない、という負のスパイラルに陥っている。そういったスパイラルを断ち切るのが、行政の役割である。

○効率的な国土利用のためには、長期的な視点と適切な規制が必要である。規制に関して例を上げれば、シカゴやサンフランシスコのウォーターフロント開発では、水際からある範囲では条例により、開発が規制されていた。一方、日本では規制をほとんどかけないために、社会資本整備が開発の後手に回り、効率が悪い。国土利用のあり方について、道路の影響は大きいため、道路側からも考えてもらいたい。