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氏 名所 属
中西 均 神戸商工会議所 専務理事

■ご意見の内容

○これまでの道路政策に関して
改善すべき点:
 ・「国際競争力を強化する都市の交通体系整備の遅れを早急に解消すること」。特に関西においては、アジア各国の経済成長によって、国際競争が激化する中、国際物流拠点を結ぶ道路ネットワークの不足が、国際競争力の相対的な低下を招いている。
 ・「既存道路・橋梁の維持管理」。道路ストックが急速に高齢化(例えば、近畿の約6割の橋梁が20年後に建設後50年以上を経過する)するが、その維持管理について懸念が残る。

道路に関して無駄と感じること:
 ・神戸においては、大阪湾岸道路が全線開通しておらず中途半端だ。現在、六甲アイランド以西の延伸がストップしているため、第2神明道路や神戸淡路鳴門自動車道との連携が十分に取れないばかりか、既存の湾岸道路も有効に活用されず、43号線の交通渋滞による大気汚染も解決されないといったマイナス面ばかりが浮き上がっている。このままでは大阪湾岸道路の持つ東西の大量交通を分散させるという広域幹線道路本来の機能が十分に発揮できず、無駄になっている。
 ・大阪湾岸道路が全線開通すると、関西の広域連携を深め、既成市街地の交通負荷軽減を図り、防災性を高めることになる。この道路は、神戸、関西のみならず四国・西日本にも及ぶ広域的な経済効果や環境・防災の観点からも大きな意義を持つ。

○今後の道路政策において
重視するべき点:
 ・無駄な道路計画の縮減や厳正なコスト管理等は言うまでもないが、特に幹線道路は全国に張り巡らされたネットワークが完成して、始めて十分な機能を発揮することが可能となる。現在、道路の中期計画が検討されているが、真に必要な道路網については、可及的速やかに整備すべきである。
 ・特に都市の交通体系の整備を進める必要がある。日本の高速道路は各所にミッシングリンクの状態を見ることができる。そのため、慢性的な交通渋滞の発生のみならず、広域的な機能連携を阻害する要因ともなっている。

優先度が高い課題:
 ・先ほど述べた大阪湾岸道路西伸部などは、都市間・空港・港湾といった物流拠点を結ぶなど広域的・戦略的な道路網として早急に整備すべきだ。また、名神自動車道と湾岸道路をつなぐ「名神湾岸連絡線」も早急に計画決定し、整備すべきである。
 ・それに続き、老朽化が進む道路・橋梁の維持管理、渋滞や沿道環境問題の改善、災害時の代替機能の確保、交通事故の軽減やまちづくりと一体となった戦略的な道路整備などになってくるのではないか。

○国民から幅広く意見を聞くときの留意点は
 ・道路特定財源については、昨年度、一般財源化を前提とした道路特定財源の見直しに関する具体策が閣議決定されたが、そもそも道路整備には一般の税財源を当てることが原則であるところ、特に早急な整備が必要なために、例外的に受益者負担主義を採用して特定財源に頼ったことや、自動車取得税などは30年以上も本則の1.2倍から2.5倍もの暫定税率が続いていることとなっている。
 ・余剰が発生するのであれば、まず、真に必要な道路の整備に前倒しをしてでも充当し、また、高速道路料金の引下げなどによる既存高速ネットワークの効率的活用・機能強化のための新たな措置についても講じて頂きたい。
 ・地域経済活動の重要インフラである高速道路の料金改定にあたっては、厳しい経営環境下にある中小企業の実態に鑑み、経済活動の阻害要因にならないような配慮が必要である。

○道路政策全般に対するご意見、ご要望
 ・道路は、地域経済にとって、社会、経済、生活を支える最も基本的なインフラである。道路ネットワークの整備は、物流、移動の効率化を進め、わが国の産業、経済の安定・発展ならびに緊急時への対応等に大きく資する。また、その役割は観光・集客機能の強化や新産業の創造や企業誘致など、各都市・地域の将来の経済発展に大きな貢献をする。
 ・近年、歳出削減の流れの中で、もう必要ないとの風潮が見られるが、わが国の経済発展や安全・安心な国土づくりに果たしてきた役割は大きく、その重要性は今も変わらない。これを踏まえて、道路整備についてはしっかりと取り組んで頂きたい。