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氏 名所 属
中村 英樹 名古屋大学大学院 准教授

■ご意見の内容

○道路の機能明確化
 道路の機能をはっきり打ち出して構造等に反映すべき。
 幹線と生活道路など機能分化し、それぞれの機能を十分発揮するための構造の道路を計画しているが、多岐にわたって協議していくうちに、当初よりも多くの機能をもたせるようになり、当初計画していた理想的な構造とは異なってしまうケースがある。
 幹線道路を計画する場合、ネットワーク形成の観点からも計画は練られているはずである。生活道路としての機能は、これに接続する従道路が担い、この接続、つまりネットワーク形成がひいては地域のためにもなることを、十分な技術的背景をもって説明し理解を得るべきである。
 一体的な説明を行うには、国と自治体や、道路管理者と交通管理者の連携が必要不可欠である。

○国際競争力
 外国人にわかりやすい案内標識にすべし

○自転車対策
 自転車走行空間は,基本的には車道上に通行帯を明記して指定すべき.
 自転車が歩道と同じレベルを通るのであれば、さらに差別化するべき。
 車道(車線や側帯)を狭め,道路空間の再配分をすることも検討するべき。

○サービス目標を意識した道路交通政策
 今後は道路ネットワークのサービス水準を高めるために、渋滞しているところに対策を講じるだけでなく、各道路の機能に応じたサービス目標に達していない箇所についても対策を講じるべき。

○東名・第2東名の機能分化
 平時は、東名と第2東名について一般交通と物流交通など、機能を分担させる考え方を検討すべき。

○道路空間の再配分
 高速の登坂車線は現在、左側の付加車線として設けられているが、左側の付加車線を走行車線とし、右側2車線を追越車線としたほうがよいのではないか。
 低速車は車線変更という行動を積極的におこすとは限らないが、先を急ぐ車は必ずと言っていいほど行動をおこすと思われる。
 ただし、登坂車線の幅員は3mでよいが、走行車線にするには幅員が足りない。しかしながら2.5+3.5+3.5=9.5mを再配分して3.25+3.25+3m程度にしたとしても、走行に支障はないと思われる。片側3車線の区間で大型車は内側車線を通行すべきでないし,内側車線を利用する追越車両は注意深く運転するので狭くても良い.

○交差点
 日本の信号交差点は,その停止線間距離が大きすぎるなど,無駄な空間が多い.交差点が大きいと長いサイクル長を必要とすることを始めとして,良いことはほとんどない.その一方で,流入部の車線数が不十分なところも多い.このような箇所は車線幅員を狭めるなどの工夫も必要.交差点構造は安全上,効率上,極めて重要なので,より慎重に設計すべき.
十字交差点をロータリーのように環状形式にするラウンドアバウトについて研究をすすめている。ロータリーとの違いは環道内の交通に優先権があること,環道内で交通流が中断されないという点である。交差点として大きな容量を必要としないところであれば適用することができ、出会い頭などの事故低減の効果が期待できる。