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氏 名所 属
新野 幸次郎 (財)神戸都市問題研究所 理事長
神戸大学 名誉教授

■ご意見の内容

<阪神大震災を踏まえて>
国民市民の安心安全を保証する道路を整備する。ある程度の人口を有する主要都市では自然災害があっても都市の内外を出入り出来る孤立しない道路網を整備する。

<都市をデザインする道路>
道路がまちの雰囲気を造る、都市をデザインする道路を考えなければならない。スイスでは道に花が植えてあり、さらには沿道家屋の2階のベランダにも花を置いて道路の雰囲気を作っている。

<これからの道路>
これまでのような産業を活性化する道路だけでなく、健康維持に繋がる道路(HAT神戸の海辺の遊歩道など)や生活を豊かにする道路を整備していかなければならない。

<道路のあり方を工夫>
ドイツのアウトバーンなどは都市郊外を通っており、都市内を横断することはない。日本は地勢の制約もあるが高速道路などを都市の真ん中に通しており、都市を分断している。都市内の交通は費用はかかるが地下を通すようにする工夫が必要である。

<予算配分について>
議院内閣制ということもあって、少し歪んだ道路整備になっている。力のある議員の地元では予算が配分され公共投資や産業などが発展するが、これは公共事業の投資基準がきちんと決まっていないために起こっているともいえる。

<無駄な道路、必要な道路>
「無駄な道路」と言われるが、国が「無駄」の原理原則を明確に示す必要がある。これまでは国が施策を考え、国が主導で事業を行ってきたが、最近では住民が何が必要かを言うようになってきた。米国は民間中心の社会であり、公共投資は個人民間ではできない必要投資への補完と考えられているが、日本では自己負担の意識が低く国への依存度が高い。納税しても国任せになり主体性が無い。自己負担も辞さない公共投資を考慮することで、より良い計画が出来ると考える。

<災害復旧に対応した道路・都市構造>
震災の時を考えると、崩壊した時に復旧可能な道路、道路空間を作ることが大切であり、そこから都市の規模を決めることもできる。また、復旧にあたっては道路の優先度を考えておく必要がある。

<道路整備の役割、必要性について>
国は道路の役割は何なのか。何の為に作るのか。国の財政が無い中考え、国民に説明する必要がある。
企業は顧客満足度というものを重視して経営している。国に置き換えると国は国民の満足度を中心に考えなければならない。最近は考え方が多様化し、何をすれば満足してもらえるのか難しくなっている。その中で工夫し、住民が求めるものは何か、何が住民に必要なのかを見極めなければならない。