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氏 名所 属
野原 建一 広島県立大学 教授

■ご意見の内容

・これまで、中山間地域の活性化について研究してきた。特に商工業の発展が都市部に比べ差がある。
・当該地域は地域資源を活かし製造業で発展してきた経緯。
・昨今の不況で経済が疲弊し、人口流出が止まらない状況。下げ止まりともいわれるが若者の流出は依然として続いている。
・若者の定着や企業誘致が各自治体の課題。
・企業誘致に向けて工業団地など各自治体が取り組んでいるが、平成デフレ後の景気が悪く企業進出が激減。
・このため、ベンチャーをはじめ新たな産業起こしの取り組みも検討し、定住人口の増加を計画している。
・とはいっても、定住人口増は直ぐには困難なため、プラス交流人口の増加策が必要。そのため、各地域は現在の観光資源の活用や創出に取り組んでいる。
・山陰と山陽の結びつきが悪い。山陰は文化的遺産がたくさんあるが生かし切れていない。それが課題。
・定住、交流人口の増加を促すためのアクセス道路(特に南北)が重要。
・せっかくある松江、出雲の文化遺産、地域資源を活かすためにも、尾道松江線は意義深い。10年後と言わずに早くネットワークしてもらいたい。
・中山間地域の各地区が通過点となることが懸念されるが、地域振興はどう考えるのか?
・三次のような拠点性のある地域はよいが甲山、甲奴、吉舎、口和、高野等は通過されるのみ。各々の地域には様々な地域資源がある。山陰側は文化的資源が多く、山陽側は特産品が多いなど。これら資源を活かして循環型のネットワークを形成すべき。
・そのネットワーク内を自由に乗り降りできる観光パスポート(ETCの様なものでも良い)をつくれないか?
・甲奴、甲山、吉舎など高原台地でフルーツや野菜が豊富。地域資源として観光農園など魅力があり、都市部とのつながりが深く交流人口(集客力)も多い。
・石見銀山が世界遺産に登録予定であるが雲南市吉田町を中心とした「たたら製鉄」も世界遺産とすべき。
・これら、観光資源となりうる拠点等を巡る循環型の観光ルートを形成し、もって交流人口の増加を図る。そのためにも道路整備は重要。
・団塊世代が大量に退職し始めるが、農業に対する関心が高まってきている。退職後のセカンドライフを、高齢社会が形成される中、新たな生活スタイルとして「スローライフ」が提唱されている。尾道松江線が出来てもそんなに交通量が増えるとは思えない。「スローライフ」を支える「スローなドライブ」も提案したい。高齢者社会にあった、ゆったり、安全に走れる高速道路であってほしい。
・今までの道路は機能性、効率性のみ。例えば、ドライブそのものを更に楽しめる様、景観に工夫するなど、目を楽しませるため、休憩所にイングリッシュガーデンがあっても良いのではないか?その運営は地域のボランティアを活かす。
・高速道路は料金が高いので下げる工夫が必要。尾道松江線は無料の高速道路であることをPRすべき。これは地域活性化の起爆剤となる。この道路を活かさない手はない。