閉じる
氏 名所 属
野村 明雄 大阪商工会議所 会頭

■ご意見の内容

○道路整備について

・ 私たちは、道路は必要という立場に立つ。不要な道路というものはない。
・ 道路は産業・経済を支える最も基本的な社会基盤で、国や地方の経済のために有効に活用することが重要。
・ 高速で移動でき、圏域間を繋ぐ幹線道路や産業道路、日常に使う生活道路など機能・用途別に優先順位をつけて整備すべきである。
・ 「地域間競争を推進するためには、イコールフッティングで整備すべき」という考え方があるが、財源に限りがある中で、高規格道路ネットワークを全国に公平に張り巡らすのは非現実的である。
・ 道路整備の戦略化と重点化、選択と集中が必要であり、地域での求心力を持ち、投資効率の高い都市のインフラ整備を優先させるべきである。
・ 「救急医療のため、早く病院に行くための道路が必要」ということも解るが、どこかで割り切ることも必要ではないか。

○ 道路整備の効率化・スピードアップ化について

・ これまで、道路整備については時間フレームを持たずにやってきている。地元の問題、埋蔵文化財の問題など不特定要素が多く難しいと思うが、道路の供用開始の時期(目標)を示すのは当然のことで、必須要件である。
・ また、道路は品質を守った上で、少しでも安く整備することが大切。
・ 一般の企業は、設備投資をすると一日でも早く稼働する工夫を行う。道路整備は全線が開通されていなかったり、着工から供用開始まで時間がかかりすぎており、効率が悪い。特に、事業進捗が遅い都市部について、道路整備のスピードアップ化を図る必要がある。

○ 道路財源について

・ 道路財源という名目で集めたお金を道路と全く関係ない分野に使うというのは、いかがなものか。一般財源に繰り入れる前に、作るべき道路はたくさんある。道路特定財源は、必要とされる道路がある限り道路整備に全額投入すべきである。

○ 関西圏の経済について

・ 地域の自立と活性化を図るためには、「エンジン産業」が必要で、中京圏では、トヨタ自動車さんを中心とした輸送産業で経済を活性化している。
・ 関西では、今後@IT家電など新しいモノづくり産業、Aバイオ技術を中心としたライフサイエンス産業、B京阪神をはじめとした観光産業の3つが経済を牽引していくと考えている。

○ 関西の物流効率化について

・ 産官学で構成された「国際物流戦略チーム」の議論の中で、南港に大きな物流センターが必要という話がある。上海から一日で部品が港に届く時代だからこそ、港から工場までの物流が重要となる。
・ 港湾については、やっと3年前にスーパー中枢港湾整備構想がでてきた。そこにポートオーソリティーをどう組み込むかが、今後重要となる。シンガポールや釜山に比べ、神戸港などは取り扱い貨物量が減少し、アジアのハブとは言いがたい状況になっている。
・ 大阪湾ベイエリアでは製造拠点・物流拠点が集積しているが、名神高速道路へのアクセスが悪く、今あるインフラが有効に活用されていない。
・ 関西全体の物流の効率化を図り、産業競争力を一層高めるためには、大阪湾ベイエリアと繋ぐアクセスを良くする必要があり、そのための道路ネットワークの整備が、いま真に必要となっている。

○ 関西経済の発展と道路整備について

・ 近畿圏のあるべき姿と最も基本的な社会基盤である陸海空のインフラ整備は、国土形成計画のグランドデザインのもとにしっかりと定めることが重要。
・ 第二名神高速道路は、国土軸を貫く国家戦略上も極めて重要な路線であり、早急に整備する必要がある。
・ 大阪都市再生環状道路は、淀川左岸線とその延伸部でベイエリアと名神高速道路を繋ぎ、大和川線で近畿自動車道とベイエリアを繋ぐ、無くてはならない真に必要な道路である。現在は未完だが、完成すれば、渋滞を解消し、大阪市内への出入りや通過にも便利になるなど、物流効率化を促進する投資効率の高い路線である。
・ 関西では、こうした道路ネットワークの途切れているところを繋ぐだけで、現在あるインフラをもっと機能的に、有効に活用することができる。今の関西の状況は、「仏つくって魂入れず」といったところ。このネットワークの未完の部分が真に必要な道路で、まずここから整備すべきである。