閉じる
氏 名所 属
大津 宏康 京都大学大学院 経営管理研究部 教授

■ご意見の内容

○今後の道路政策における重視点
・中期計画策定にあたっては、ビジョンを踏まえ策定すべき。
(理由)
 世の中は動いており、今後必要となる道路整備のネットワークや質は、時代背景により大きく変わっていく。今、現時点で検討するのではなく、中期計画の単位が10年ならば、10年後の日本のライフスタイル、どんな国にするのか等ビジョンを見据えて検討すべきである。
 例えば以下のような事が考えられる。
 1.日本は、少子高齢化の傾向にあり、少子高齢化に対応した道路の質の向上が必要となる。
 2.加工貿易は中国や東南アジアに移っており、日本国内では地方に工場を作る時代は終わりつつあり、地方と都市を結ぶ道路ではなく、物流を意識し、空港、港湾を中心とした道路作りが必要である。

 3.化石燃料は遠くない将来に枯渇することが予想され、物流輸送手段に化石燃料以外のエネルギーによる車の開発が進むことが予想されるが、今後も道路は物流の中心となり続けるため、道路整備は必要である。
 4.経済発展するには外国資本が入らなければあり得ない。グローバル化を推進し、先進国の駐在員が、活躍できる環境作りが必要である。彼らは、配属先の国に求めるのは、自国にいるのと同じ生活環境であり、@公共交通機関の料金が分かりやすいこと、Aトイレがきれいであること、B自分で車を運転できるように標識に英語標示があること、Cリゾート地があることであり、道路標識の充実や、リゾート地へのアクセス道路の整備が必要である。

○その他。道路政策全般に関する意見、要望
・インフラに対する国民の認識を改革することが重要である。
(理由)
 現在の日本において、若年層の人気のある職種は、IT、バイオ、ナノテクであり、インフラ産業に対しては低くなってきている。この傾向は、インフラ整備がある程度なされてきている現れであり、世界的に先進国で見られる現象である。インフラが空気のようなあって当たり前のものになっており、インフラが整備されたとたんに、不便だったことを忘れてしまうためである。道路特定財源について議論するには、今一度、国民にそのことについて再認識を促し、インフラ整備の必要性をきちんと認識してもらう必要がある。
・防災意識の向上を図ることが必要である。
(理由)
 大きな災害があり、防災面に関する国民の意識も高まってきているが、災害から遠ざかると下がっていく。その意識レベルを維持した上で更に向上させ、もっとインフラ整備が必要であることを認識して頂く事が必要である。ただし、現在のインフラの安全性について正確な公表、どのレベルの強度で構造物を構築するか等の課題はある。


以上