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氏 名所 属
小倉 義人 大分銀行 頭取

■ご意見の内容

・都市でも地方でも人口や文化の一極集中が進んでいる。東京と地方の関係でもそうだが、大分県内でも大分市内への集中が進んでいる。過疎・高齢化が進む地域では、子供が生まれないような状況になっている。
しかしながら、日本の狭い国土を有効に利用して経済発展を図ろうとすれば、地域の中核都市を育てる必要がある。このためには、各地域の幹線となる道路網は非常に重要であり、九州であれば循環型高速道路網は欠かせない。隣県に行くのにも何時間も時間がかかるのでは、有効な国土利用は不可能である。現状では東京に行かなければ享受できないサービスも、道路網が整備されれば九州内で用事が済むようになる。

・九州は、カーアイランドと言われるような自動車産業の一大地域になろうとしている。このような産業集積地域が成立するためには、効率的な物流ネットワークが必須である。同じ車を運ぶのでも、長距離を時間をかけて運ぶのではなく、船とトラックのアクセスもよくして効率的な輸送ができるようにする必要がある。地球温暖化の問題を考えても、このような効率的な物流網は重要である。

・九州では、アジア地域からの観光客がかなり増えている。地域ごとに特徴のある九州の魅力を考えると、道路が整備されることで2泊3日でも様々な楽しみ方ができるようになる。このような点も非常に意味のあることである。

・快適で暮らしやすい地方をどのようにつくっていくかという点も重要である。国立大学のあり方についても様々な議論があるが、各県一つではなく、分校方式で運営するというような形態も考えられると思う。そのようなことも、道路がきちんと整備されていることが前提条件になる。

・本州と四国の間になぜ3本も道路が必要だったのかということも言われている。政治が悪いのか行政が悪いのかわからないが、そのような不満が道路行政への不信につながっているのではないかと思う。このような国民の不満を一つ一つ正していくことが必要なのではないかと思う。

・選挙では、地元におみやげを持ってこれる人に投票するというような考え方があるが、これでは国家を論ずる人が長続きしない。政治・行政が客観的に優先度を決めて整備をするような仕組みが必要である。各地域が主張はするのは重要なことであるが、一方、限られた中でどのように優先度をつけてリーズナブルな予算配分を行うかは全体を俯瞰して総合的な判断が必要である。

・日本全体のバランスを考えれば、都市と地方の両方とも大事である。しかしながら、東京で道路整備をすれば土地価格が非常に高いため、同じ予算を使っても整備される道路延長は地方の方が何倍も長い。このようなバランスも考えて道路整備を行う必要がある。

・大分県内に高速道路ができたのはほんの最近である。これまで大分県民は「お上に任せておけばきちんとやってくれる」と思っていたのではないかと思う。高速道路や新幹線についての東九州と西九州の比較もそうだが、大分県内でも最近ようやくそのようなことを認識して発言し始めている。大分県内の道路整備がこれでよいとは誰も思っていないと思う。