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氏 名所 属
小野垣 親士 北海道放送(株)

■ご意見の内容

今回の中期計画の取組として、計画の案を作る段階から幅広く問いかけをすることは非常に労力が必要と思う。しかし、今後の道路政策を考えた時に、道路単独で考えるのではなく、全体のニーズの中で道路の役割をどのように位置づけていくかが重要であり、このための取組がすでに始まったと感じている。

地球環境の観点から、これからの街づくりではマイカーを卒業する視点が大切だと感じる。道路ルネッサンスの、「自動車交通最優先」から「人や地域と道路の新しい関係」を構築しようという考え方は、これから進めるべき発想だろう。
今後は自転車に対する取組も重要。歩行者の安全のため車道端を走行するにも安全に走行できる道路環境ではない。自転車利用環境に関するレポートでは、警察等との連携により、ハードとしての道路自体と取り締まりを含めた利用を、自転車交通として総合的に位置づけており理解できる。ただ、都会と地方では状況が大きく違うため、地域の実情に応じた柔軟な対応が求められる。

都心部では自動車の利便性を求める取組をしても限界があり、マイカーを使わずにどう利便性を高められるかを考える発想が必要ではないか。パリでの大規模な貸自転車事業や、パーク&ライドによる公共交通の利便性向上の取組など、様々な行政が連携した中で進めていく必要がある。

一方、地方では公共交通も少なくマイカーは移動手段として重要だが、特に、地方特有の大きな課題として医療の問題がある。今後は広域医療を目指さざるを得ないとすれば、頼るものは道路であり、災害時対応でいうところの「命の道」というとらえ方は医療対応にも当てはまる。救急ヘリの拡充も大事だが、ヘリは悪天候では飛べず、やはり陸路は重要である。当地では、冬期には厳しい道路環境となるが、冬でも病院には行かなければならない。広域医療をどう構築していくかと、道路の整備はリンクして考える必要がある。
交通量の大小という観点だけでは、地方部の道路の必要性は評価できない。それぞれの場所で、実際にどういう点が問題になるのかを検証し、評価していく必要がある。人口が少ない地域の道路を考える際は、経済・物流の観点もあるが、災害時の観点や医療確保の観点も大きな論点になると考える。
また、シーニックバイウェイ北海道の取組は、地方部の取組として今後の可能性を感じさせる。