閉じる
氏 名所 属
小野 紘一 舞鶴工業高等専門学校 校長

■ご意見の内容

○これまでの道路政策に関して
 行政側はもっと道路の必要性・整備効果を広報し、国民のコンセンサスを得る必要がある。道路はあって当たり前と考え、有り難さを認識している人はそれほど多くない。

 道路整備のスピードが遅い。舞鶴若狭自動車道について言えば敦賀まで早期に整備すべき。ネットワークとして断絶した状態では効果は十分に発揮できない。

 暫定2車で供用する高速道路があるが、安全面を考慮し4車で整備すべき。特にトンネルでの対面通行は怖く、使うことをためらう。

 一般道路において、大型車と一般車が混在し渋滞等の問題がある。大型車をもっと高速道路に誘導すべき。交通規制を有効利用し大型車の通行可能なルートを指定するのも良い。

 主要幹線道路(高速道路)は高架構造が主流だが、地震を考慮すると平面構造も有効である。経済的で、防災面でも安全であり、仮に被害を受けたとしても復旧が早い。

○今後の道路政策において
 自転車道をもっと充実し、歩行者と自転車を分離すべき。市街地部においては、通勤等の需要が見込めるパークアンドサイクルライドの検討も積極的に行ってはどうか。

 市街地を中心に石畳の舗装を進めるべき。初期コストは高いが、維持費は非常に少なく、雨水が浸透・蒸発することでヒートアイランド対策にもなる。また、車のスピードも下がり安全面の観点からも有効である。景観面以上に機能的に有効である。

 都市部では信号交差点での事故が多い。青であればドライバーが安全と思い込む。ロータリー化すれば必然的にスピードも下がり安全であり、中央部に花を植えることで道路景観も良くなる。流入のプライオリティーをつけることで交通処理も可能と考える。

 地方部においては観光面も考慮した道路整備を積極的に行うべき。観光・文化施設があっても、アクセス道路が不十分だと観光客も少なく、過疎地域の活性化にも繋がらない。

 沿道に花をもっと植えた方がドライバーにとって快適で、その道を走ることが楽しみになる。沿道住民も植えたい気持ちはあるが官地であり躊躇している方もいるため、積極的に協働し役割分担を決めてはどうか。

 電線類の地中化を積極的に行うべき。特に景色のすばらしい観光地において、風景を台無しにしている。景観が良くなることで人が集まり、地域の経済的価値も上がる。

 調査に時間をかけず、構造物の延命化対策をもっと積極的に実施すべき。適切な時期に修繕を行えば、コストも抑えられる。
 
○道路政策全般に対するご意見、ご要望
 縦割り行政の弊害を感じることがある。例えば、幹線道路を新設整備する際、積極的にライフラインも合わせて整備すべき。同時施工であれば低コストで整備できる。ガスについて言えば、ガス管は地方単位のネットワークしかなく、全国的な幹線ネットワークも必要。ガスや石油をパイプラインで送ることで輸送費も下がり、危険物車両がなくなり安全である。

 日本において道路も含め公共事業に対する理解度が低い。フランスなどでは、公共性ということについて小さい頃から教育が行き届いており、国民の理解度が高い。日本では、まだまだ公共性の優先度は低く、事業の遅れが国損を招いているケースも多い。安全かつ機能性を備えた道路整備は、国民の快適な生活基盤の向上と国家の円滑な経済活動の推進に不可欠である。