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氏 名所 属
坂本 あや 高知女性「道」ネットワーク実行委員会

■ご意見の内容

・地方のあり方を基準にして議論をしてほしい
 私たち地方の生活条件は都会とは違う。たとえば、鉄道が自宅近くに無く、公共交通の整備もなされていない集落では、時間距離で20分程度の所に病院があっても、丸一日がかりで受診しなければならなかったり、山間部集落を結ぶ道路についても幹線道路に出るまでに長い移動距離を移動しなければならず、自動車を運転できない高齢者や子供達の日常には厳しさが残っている。田舎には、都会の基準で判断したり、都会の理論は適さないことを理解し地方の実状に適した道路政策をしてほしい。

・事業のスピード化を
 道路整備は計画して10年、整備に10年などと、時間がかかって当たり前のように思われているが、本当に必要な最低限の条件でもいいから早急に整備をしてもらいたい箇所がある。現在の整備基準より質が落ちるかもしれないが、高知県が提案した1.5車線的整備などのように必要な整備を必要な時に、早く行えるような方法を考え地域の実状に合った事業の推進を図るべきだと思う。

・公共事業のメリットを理解してもらうことの必要性
 昔から、「国の事業に土地を取られた。」「工事の時にほこって生活が大変だった。」という地権者の声が残っている。農地を守るという意識の強い地方の住民にとって、農地を道路事業で失うことに反感を覚える地権者もまだ多くいる。公共事業が地域に果たす役割を理解してもらえるように説明責任を果たすことが大事と考える。

・地方のことは地方に聞く
 国や県の出先機関は地域の実状を一番把握しているはずである。そのかたがたが中央に判断を仰ぐのではなく地方における事業等の必要性を訴えてほしい。それを基準に地方で実施される事業は地方で決めるべきであると思う。よって、各地の出先機関から提案された事業案を決定するについては、地方の声が最先端の意見として捉え、中央が決めるのではなく、地方が決めた事業をいかに支援できるかを議論してほしい。地方の事業は地方が決める、国、県は地方を支援するという姿勢で政策を考えてほしい

・地方が無理をしない財政支援を考えてほしい
 地域の実状に合った補助金や支援が必要だと思う。都市であれば当然実施できる事業の採択基準が、地方では過分な財政負担を必要とする事業の立ち上げとなるなど、都会の基準に地方が合わせるという構造となっている。たとえば高知県が提案した1.5車線的整備などは、交通量が少ない場所には2車線の広い道路を都市と同じ基準で整備するのではなく必要分の事業を実施し、路線を延長することが必要であればその分に費用を回すことができる。既成概念を排除し現実に即した基準を設けることで、過剰な事業をすることがなくなるので、その分工事費等の削減にも繋がると思う。

・身の丈に合った支援を受けたい
 利用者が少ないのに基準値が高く現状には合わない申請を出す。それでないと補助基準にのらないので無理しても基準通りの施設を建設するなどの現状が地方にはかなりある。また、維持費の増加や費用対効果の議論の中で基準を満たすことができず申請すらできない場合もある。数字の議論ではなく必要性を議論できる施策が望まれる。

・PI方式での住民意識と利害関係
 国道56号大方改良事業は全国初のPI方式としてスタートし、地元住民の意見を聞きながらルートを決定したという事業であるが、PIでのルート決定後に地権者が特定されるため関係者への情報提供や説明が後回しになる感を抱く地権者が多かった。また、さまざまな思想や政治的な立場の利害が絡み、スムーズな運びができない状況であった。大方改良事業は地元の純粋な地権者の反対者だけでなく共産党の国会議員が地元に入り調整役になると自負して地域を混乱させるなどの状況があった。地域の混乱等を踏まえ、最終判断は国が決めるという立場を明確にし、取り組む姿勢が重要な手法だと思った。
 また、公共事業の執行には賛否の議論がありその結果は地域へのしこりとなって残るが、地域に真に必要な事業の推進には関係機関としての責任を持って取り組み実行すること、特にPIのように、住民が参加した事業はその結果を確実に地域に示していくことが無駄を作らないことだと思う。

・時間とお金を無駄にしない
 国道56号大方改良事業のように、反対賛成の議論のために、時間もお金もかけ地域の住民も一生懸命考え長い間苦しんでいる。誰が考えても地域に重要なこの幹線道路改良がこれほども時間がかかり推進されないことに疑問を感じる。このまま事業が凍結、停止などないように計画を実行していただきたい。時間も金もかけて最終的に中止になるようなことになれば、それが一番無駄なことになると思う。

・高速道路の利便性を活かす地域内幹線道路の整備
 四国の8の字ルートを効率よく使うためには高速道路と地域内の幹線道路がまちづくりを共有し効率よく地域に車が流れ込み、滞在できる道路環境の整備を進めることと思う。

・高速道路におけるサイン計画が地域へ交流人口を引き入れる
 四国の中でも高知県のように立地条件の悪い地方に高速道路が整備されることによって、地域間格差が是正され経済や教育に於いても波及効果があると思う。高速道路や高規格道路の最大限の整備効果を出すには、地元の幹線道路との取り合わせが重要であり、地域のまちづくりと直結した計画実施が大事だと思う。また高速道路などに設置されるサイン計画が重要で、地元への交流人口引き入れの窓口として全国統一ではない土地柄をPRできる案内板の設置なども有効なことだと考える。

・子どもの意見は未来を創る
 近い将来、車を運転することになる中高生からもアンケートを集めたらどうか。中高生が提案した事が実際の事業となったり、要望箇所が改善されたりすることで子どもたちは社会の一員として意見が認められたという認識を持ち、今後の道路行政等についての積極的な提案者となってくると思う。

・地震の被災地となる危機感
 高知県西南部は国道56号1本の路線で地域が支えられている。したがって、この路線が確実に来るであろうと言われている地震やそれに伴う津波で崩壊や流されたら、生活基盤がマヒするだけでなく、被災者の救助に入ってもらう事すらできないことになる。高規格道路の建設が被災地域を支援してもうらうためには重要な事業であると思う。

・8の字ルートの推進
 四国を一つに結ぶ高速道路は、地域間格差を無くすために重要である。四国内の未整備地域の解消が急がれると思う。

・生活道路は最優先で整備されたい
 高知県黒潮町の国道56号改良事業のような町中を走る幹線道路として日常生活に直結した危険な道路は、車道と歩道の分離がどうしても必要な事業で、国としても最優先で整備すべき道だと思う。このような地域に密着し、日常生活において常に地域住民が危険にさらされている道路は、国の責任として早急に改善を進めることにしてほしいと思う。
 道路行政は、費用対効果だけではなく、まず国民一人一人の命を守るものでなければならないと思う。

・人を結ぶ 地域を結ぶ まちを結ぶ 道で結ぶ
 道は、出会いや生活文化を運び人を結ぶ重要な役割を果たすもの。だから、全国どこででも、しっかりと事業が行え、その環境を維持できるだけの財源の確保をしてほしいと思う。